「エクスキューズ」の意味
「エクスキューズ」とは、英単語「excuse」に由来する言葉であり、「言い訳、弁解、弁明」などの意味です。
よく知られた英語の慣用表現に「excuse me」(エクスキューズ・ミー:「すみません」「失礼」「何と言われましたか?」などの意味)がありますね。
この「excuse me」の「excuse」は、大げさに言えば「(私を)許してください、大目に見てください」という意であり、言い訳や弁解の意味に通じていることがおわかりになるのではないでしょうか。
「エクスキューズ」の使い方
「エクスキューズ」という言葉は、主にビジネスシーンで、「言い訳・弁解・弁明」を少し柔らかく言い換える語として使うことができます。
例えば誰かに「言い訳するな」や「弁解はないの?」と言う場合、相手側の過失や失敗を前提とした、非難の傾向が強くなってしまいます。また、上から目線のニュアンスも自ずと帯びてしまいがちです。
そんな時、「エクスキューズ」であれば、非難のニュアンスを少し薄めつつ、少し客観的な立場から「必要な説明」の意味も含めながら、「言い訳・弁解・弁明」を言い表すことができます。
注意点:自分から使う言葉ではない
「エクスキューズ」は、かみ砕いて言えば「言い訳」をビジネス向けに、少しマイルドにした言葉ですが、かといって自分から「今回の件(失敗)について、少しエクスキューズさせてください」などと使うことはできるだけ控えましょう。
なぜなら、ビジネスの世界では「失敗した理由の解明」は必要でも、「自己弁護のための言い訳」は歓迎されないことがほとんどだからです。「言い訳」を柔らかく言う「エクスキューズ」となれば、さらなる自己弁護ととられかねません。
相手に「言い訳」と受け取られてしまうのを承知の上で、どうしても自分の立場や事態の流れを説明したい場合には、事実を認めた上で、「言い訳になりますが…」や「恐縮ながら申し上げますと…」などの表現を用いましょう。
「エクスキューズをつける」
「エクスキューズ」は、基本的には事後的な釈明・弁明のニュアンスで使われることが多いのですが、「弁明をあらかじめ付記する」=「エクスキューズをつける」という使い方もあります。
例えば、何らかの調査報告書を作成する際、どうしても不備のあるデータや結論しか載せられなかった際には、あらかじめその旨を釈明のために付記しておくことで、「不備があるじゃないか」という追及を回避することができます。
ただし、不備がないに越したことはありませんから、「エクスキューズのつけすぎ」には注意しましょう。前項の注意点と同様、相手にとっては単なる予防線の設定や保身と受け取られてしまう可能性があります。
例文①
(上司)
先週あなたに出してもらった書類だけど、先方の名前も間違っているし、計算表にもミスがあったよ。やり直してくれる?
(部下)
すみません。先週は仕事が立て込んでいまして、あと、同僚のミスのフォローもしていて…
(上司)
エクスキューズはいいから、すぐに取り掛かって。
例文②
(チェック担当者)
本件はほぼ間違いなく彼の過失ですが、いちおう本人のエクスキューズも聞いておきましょう。
例文③
(記者)
政治献金問題に対する長官のエクスキューズはまったく納得できない。報道の人間として、しっかり追及していかないと。
例文④(エクスキューズをつける)
(研究者)
100%の精度とは言えないが、十分に有意といえる結果が出ているから、この研究はエクスキューズをつけて発表しよう。
「エクスキューズ」の類語
「エクスキューズ」の類語表現としては、これまで述べてきたような「言い訳」「弁解」「弁明」などが該当します。
他に、状況・文脈にもよりますが、以下のような言葉を「エクスキューズ」の類語・言い換え表現として用いることができます。
- 口実
- 釈明
- ごまかし
- 託(かこつ)け
- 言い逃れ
- 正当化(自己正当化)
英語の「excuse」
英単語「excuse」の意味をざっくりまとめると、以下の通りです。
【動詞として】
- 勘弁する、大目に見る、(何かするのを)許す、免除する
- 言い訳する、正当化する
【名詞として】
- 言い訳、弁解、(欠席などの)断り、詫び
- 口実、弁明の根拠
名詞的な意味はカタカナ語の「エクスキューズ」とよく似ていますが、「勘弁する」や「許す」の意味は、英語独自と言えそうですね。
例文
- He excused his son's mistake.(彼は息子の誤りを許した)
- Can I be excused from today's lesson?(今日のレッスンは欠席させていただいても良いでしょうか?)
- Nothing can excuse her rudeness.(彼女の無礼は何も言い訳できない)