「wit」の意味
英単語「wit」の意味は、以下の3つです。
- 機知(きち)、頓智(とんち)、ウイット
- 機知に富む人、ウイットのある人
- (通常は複数形で)知力、理解力、才能、分別、正気
意味の説明に「ウイット」とあるように、カタカナ語としてもほぼ同一の意味として使用できることを覚えておきましょう。「ウィット」と、小さな「ィ」で表記・発音されることもあります。
「機知」について
「wit」の主な意味である「機知」について掘り下げておきましょう。「機知」とは、その時その場合(=機)に応じて働く才知や、鋭い知恵、判断力のことです。
単なる「知恵」や「知識」と違うのは、その場の状況に応じてとっさに働く「即時性」のニュアンスです。その場において適切な言動・行動をとれること、および、そのために必要な知恵や判断力が備わっていることが「機知」であり、「ウイット」です。
「wit」の使い方
「wit」の使い方ですが、「機知(があること)」や、「機知がある人」について用いる際には単数形を用います。一方で、「(機知を成すための)人間の能力・感覚」について用いる際には複数形「wits」とする点にご注意ください。
なぜなら、「wit」(=機知)は、ごく少数の人だけに備わった特別な才能というわけではなく、視聴覚を含めたあらゆる感覚、物事を見る冷静さ、物事を効率よく進めようとする頭の働き、複数の能力の総合として表れるものだからです。
いきなり「witのある言動・行動」をすることは難しくても、それを成すための感覚・能力はあらゆる人間に備わっている普遍的な才能や知力(wits)である、と考えると、単数形と複数形の区別がつきやすいかもしれませんね。
イディオム
- at one's wit's end…途方に暮れる(witが尽きる意)
- collect one's wits…気を取り直す(witを得る意)
- have quick/slow wits…機転がきく/きかない
- live by one's wits…(まじめに働くのではなく)ずる賢く生きる
- out of one's wits…正気を失って
例文:英語
- The novel is full of wit and humor.(その小説は機知とユーモアであふれている)
- He was quite a wit.(彼はとても機知に富んだ人だった)
- The new worker has quick wits.(新しい作業員は理解が早い)
- The shock has done great damage to her wits.(その衝撃は彼女は動転させた)
例文:カタカナ語
カタカナ語「ウィット」の使い方についてもご紹介しておきます。英語「wit」とほぼ使い方は同じですが、複数形として「人間の普遍的な能力・感覚」表すニュアンスはかなり薄くなっていますのでご注意ください。
- 壇上に登った若き社長は、ウイットに富んだ話で聴衆を湧かせた。
- 彼は話も上手いし世渡りも上手い。生真面目な日本人にしては珍しいウイットのある人物だよ。
- 教授が放ったいじわるな難問に、彼はウイットが利いた解答で見事に返した。
「wit」の語源
「wit」の語源は、古英語の「witan」(知る)やゲルマン系祖語の「witja」(判断する)に由来します。そこからさらに古く語源を探ると、「vision」(視覚、幻影)などの単語の元になった「videre」(見る)という語に行きつきます。
「videre」と「wit(witan/witja)」。「w」が「v」から派生して生まれた字であることを考慮すると、確かに似ているといえそうですね。
以上の語源から考えると、「見る、知る、判断する」がもともと「wit」に込められた意味であると言えます。
語源が同じ英単語
- witness(目撃する)
- wise(賢い)
- wisdom(知恵)
- visual(視覚の)
- view(眺める)
- advice(助言する)
車名の「wit」
「wit」(ウイット)と聞くと、スズキ自動車の軽乗用車・MRワゴン「Wit」を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
2006年に発売が開始された同社MRワゴン二世代目の車名であり、「Wit GS」「Wit XS」などの派生うモデルも生まれたほか、2011年以降のフルモデルチェンジ後も「Wit」モデルが供給され続けるなど、人気を博しました。
なお、車名「Wit」の由来は、ここまでご紹介してきた英語の「wit」です。小回りが利く低燃費な軽乗用車を「機知に富んでいる」と形容したわけですね。