「生々しい」の意味
出来たばかりで目新しい
「生々しい」とはできたばかりで真新しいという意味です。つくられてからさほど月日や年月が経っていない、日の浅いものであるということを表します。
時間の経過で物が劣化することや記憶が色あせていくことを「風化」と呼びますが、この「風化」がまだ起きていない、新しい様子を表す言葉です。
【例文】
- 火山の噴火は収まったとはいえ、周囲の街には生々しい爪痕が残っていた。
- 帰り道によってみると、まだ警察官がいて、生々しい事故現場のままであった。
ありありと想像できる・目の前にあるような
「生々しい」はまた、目の前にあるような感覚がする、ありありと想像できるという意味でも使われます。新聞や雑誌の記事、体験談や思い出に使われている場合は、この意味での使い方でしょう。
主に描写や表現について使われ、事件や出来事を忠実に伝えている、写実的であることを表します。イメージを膨らませるような、肌で感じられるような現実感を持つものであるという点で、「生きた」とも表現できます。
【例文】
- 発展途上国の子供たちの生活を報じた生々しいレポート。
- 病気の描写があまりにも生々しいので、目をそむけたくなる。
生きているような・生き物の
「生々しい」には生き生きとした、生命感のあるといった意味もあります。「生身である」、「鮮烈な」という言葉で置き換えることもできる表現です。絵画などの作り物に使う場合は、生きているような鮮やかさや躍動感があるさまを表します。
近年では、主に本来なら隠されているはずのものがむき出しになっているような状況を表すこともあります。例えば殺人現場や手術などの内臓や血液がさらされている様子。あるいは、普段は制御して隠している殺意や欲望が現れている状態です。
【例文】
- 肉片が飛び散るような生々しいシーンが多いからこの手のドラマは見たくない。
- 遺産を巡って、生々しい欲望をむき出しにした骨肉の争いが始まった。
「生々しい」の類語
グロテスク
「生々しい」と似た意味で「グロテスク」が使われることがあります。「グロ」や「グロい」などと略されることも多いです。「グロテスク」とは不気味なものや奇抜なもの、嫌悪感をもよおすもののことを指す言葉です。
元々はローマ時代の装飾様式の一つで、生き物をモチーフにした奇妙なデザインを指す言葉です。そこから、美術や建築、文学などで使われる言葉として定着しました。
現代の日本ではSFやサスペンスタッチで気味が悪いものを指します。例えばバラバラの死体や猟奇殺人、エイリアンなどです。生き物や死体にのみ使われ、無機物には使われない傾向にあります。
露骨な
「生々しい」のもつ、本来は隠されているはずのものがむき出しになっているというニュアンスを表している言葉が「露骨」です。
「露骨」とは感情や態度などを隠そうとしない、あからさまな、という意味です。「身もふたもない」とも言えます。
リアル
「リアル」とは現実そのもの、ないしは現実に即していてありのままという意味です。誇張や脚色を加えていない、写実的なことも意味します。
現実にありそうなほど可能性が高い、まさに現実に起きていることを「リアリティのある」「リアルな」と言います。現実に起きているかのような感覚、現実感があることですね。
「生々しい」の英訳
「生々しい」を英語にすると、次のような表現になります。
- vividー生気に満ちた、鮮明な様子。記憶や描写に使います。
- freshー新鮮さ。出来事や記憶の真新しさ。
- graphicー写実的。性や暴力などの露骨なことも表します。
- livelyー活発で強烈な様子。話や感情について使用します。
- directー直接的でストレートなこと。
- first-handー経験に基づいたこと。一次体験を表します。