「五月雨」とは?「五月雨式」の意味も含めてご紹介

「五月雨」という日本語をご存知でしょうか。少し難しい読み方をするこの言葉、どのような由来があって、どのような意味があるのかということをご紹介しながら、「五月雨」から転じて生まれた言葉である「五月雨式」という言葉の意味・使用法もあわせてご紹介させていただきます。

目次

  1. 芭蕉も使っていた「五月雨」という言葉
  2. 「五月雨」の読み方
  3. 「五月雨」の意味・由来
  4. 「五月雨式」とは?
  5. 「五月雨式」の使用例

芭蕉も使っていた「五月雨」という言葉

「五月雨」という言葉をご存知ですか? 松尾芭蕉が『奥の細道』において「五月雨を集めて早し最上川」という代表的な句を遺しています。このことからもわかるように「五月雨」という言葉は古くから日本で使われている言葉です。

「五月雨」の詳しい意味をご紹介すると共に、そこから転じて生まれた「五月雨式」という言葉の意味も見ていきましょう。

「五月雨」の読み方

「五月雨」という言葉はそのまま「さつきあめ」という読み方をすることもありますが、現代では一般的に「さみだれ」という読み方をします。

当て字のような読み方ですが、それぞれの漢字に該当した読み方です。「さ」という読みは「五月」の部分を指します。「五月」は「さつき」と読みます。その頭の「さ」を指しています。残りの「みだれ」は「雨」の部分を指します。「みだれ」は漢字にすると「水垂れ」となり、つまり「雨」のことです。

よって「五月(さつき)」を指す「さ」+「雨」を指す「みだれ」が合わさって「さみだれ」という読みになります。

「五月雨」の意味・由来

先述した読み方から考えれば「五月雨」は「五月に降る雨」という意味であると導き出せることができると思います。しかし「五月雨」の意味は「梅雨に降る雨」という意味です。

現代の梅雨の時期は6月です。だとするならば「さみだれ」は「六月雨」でなければなりません。ではなぜ「五月雨」と表記するのでしょうか。

それは日本の暦に関係しています。日本は古来「太陰暦」という暦を使っていました。いわゆる「旧暦」と呼ばれるものです。これは「月の満ち欠け」を基準とした暦ですね。現在ではグレゴリウス暦と呼ばれる「太陽暦」、つまり太陽の運行によって決まる暦を使用しています。日本では明治5年に太陰暦から太陽暦に移行しました。

太陰暦と太陽暦とではおよそ1ヶ月分のズレが生じます。太陰暦の方が1ヶ月遅い運行です。つまり現在の6月は太陰暦では5月になります。つまり太陰暦では梅雨の時期は5月に訪れることになります。

このことから古来日本では「梅雨に降る雨」のことを「五月雨」と表記したのです。言葉の成り立ちには暦という社会制度が関係することがあるのですね。

「五月雨式」とは?

「五月雨」という言葉の由来・意味を見たところで「五月雨式」という言葉も同時に見ておきましょう。

「五月雨式」という言葉は「五月雨のように」という意味であり、つまりは「梅雨に降る雨のように」という意味ですね。梅雨の雨というのは激しい雨が一気に降るのではなく、弱い雨がしとしとと絶え間なく降り続けるものです。

つまり「五月雨式」は「断続的に、絶え間なく、だらだらと続く様子」を指す言葉として現代では使われています。

「五月雨式」の使用例

では「五月雨式」という言葉はどのように使うのでしょうか。

「五月雨式」は主にビジネス用語として現代では使われています。たとえば「五月雨式に連絡してしまって申し訳ありません」というように使います。これは「同じような内容を断続的にしてしまって申し訳ありません」というような意味になります。

また「作業が遅れてしまって申し訳ありません。出来上がったものから五月雨式に納品させていただきます」などと使えば「出来上がったものから断続的に次々と納品する」という意味になります。

注意しなければならないのは「五月雨式」という言葉はどちらかと言えば否定的なニュアンスを含んでいるということです。「五月雨式に努力します」と言うと「メリハリもなく、だらだらと努力する」と相手は読み取ってしまう可能性もあるので、使い方には注意をしましょう。


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