「楚々」とは?
女性の美しさを褒める時に、どのような言葉を使いますか?「かわいい」「きれい」という言葉を使うことが多いのではないでしょうか?
日本語には美しさを表す言葉として「かわいい」「きれい」の他にも「可憐(かれん)」「清楚(せいそ)」など様々な表現がありますが、「楚々」も「美しさ」を表す言葉の一つです。
「楚々」:意味
「楚々」または「楚楚」は、「清らかで美しく見えるさま」を表す言葉です。<そそ>と読みます。「楚」は「清楚」などに使われる漢字で、同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現です。
主に「けがれのない美しさ・純真さ」を指し、多くの場合、若い女性の清らかさや可憐(かれん)で奥ゆかしさを感じさせる様子を表します。
「楚々」という言葉には、若々しい清らかさや、飾り気のない、素朴なというようなニュアンスがあります。カタカナ語の「ピュア」や「フレッシュ」に近いイメージです。
やや古めかしい表現ですが、それゆえに奥ゆかしさを感じます。使い手の知性、品格を匂わせる美しい日本語ですね。
「楚」:意味
「楚」は<そ>の他に<いばら・むち・しもと・すばえ・すわい・すわえ>と読むこともできます。「楚」という漢字は、「茨(いばら)」、「人参木(にんじんぼく)」を表す字です。
「茨」は、刺(とげ)のある低木の総称で、ツンと痛いという意味が転じて「すっきりとした」と意味が生まれました。
「野茨」はかわいらしい白い花をつけます。この花が控えめで清らかだと感じ、「楚々」や「清楚」における「楚」の意味ができたのではないかと考えられています。
古代中国における「楚」
紀元前の中国では、「楚」という文字は「鮮やかな」、「鮮明な」という意味で使われていました。古代中国に存在した王国の1つ、「楚」は、当時の中国の中では宮殿や衣装が並外れて贅沢で派手であることで知られる国でした。
そこから、「楚」という文字が「鮮やかな」という意味を持つようにになったと言われています。「楚々」という言葉も非常に豪華なさまを強めた表現であったようです。日本語での「楚」とは意味が大きく異なりますね。
「楚々」:使い方
楚々とした
- 控えめで楚々とした女性がタイプです。
- 野原に咲く楚々とした白い花に心奪われた。
- 彼女は良い家庭に生まれ、気も弱く楚々とした感じの箱入り娘だ。
- 上質な素材を使った楚々とした味わいに舌鼓を打った。
楚々たる、楚々と
- その楚々たる風情に心が安らいだ。
- 向かいに座った女性の楚々たる横顔に、思わず見惚れてしまった。
- その女性社員は、楚々と頭を下げ、部屋を退室した。
- 楚々と振る舞う姿に、大和撫子の雰囲気を感じた。
美しさを表す言葉
世界的に見ると、大人の女性に「きれい」はともかく「かわいい」はあまり使われません。海外の人から見ると、日本人が「かわいい」を多用する光景はなんとも不思議に感じられるものだそうです。
「目を引くような美しさ」もあれば、「慎ましい美しさ」や「調和のとれた美しさ」など様々な「美しさ」があります。そんな美しさを表す言葉のグラデーションを感じ、色々な表現ができるようになると、「美しい」言葉遣いができそうですね。
- 可憐:愛らしいさま
- 清楚:清らかですっきりとしている
- 奥ゆかしい:慎み深く、魅力的である
- 婉容(えんよう):穏やかで優しい風貌
- しとやか:物静かで上品である
- 端麗(たんれい):顔かたちが整っていて美しい
- 麗しい:美しくて立派である
- 優雅:しとやかで気品がある
- 艶(あで)やか:なまめかしく、美しくて華やか
- 瀟洒(しょうしゃ):すっきりと垢抜けているさま