「爛漫」の読み方
「爛漫」は「らんまん」と読みます。「爛」の字は日常ではあまり使わないので、正しく読むのは難しいですね。医療関係者なら「爛(ただ)れる」という使い方をされているでしょうが。
「漫」は「漫画」に使われている漢字ですから、多くの方が読めたことと思います。なお、アクセントは先頭にはつけません。「らんまん」です。
めったにありませんが、「爛漫」は「爛縵」と書くこともあります。どちらの字を使っても意味は変わりません。
「爛漫」の意味
花が咲き乱れる
「爛漫」とは花が咲き乱れる様子を表した言葉です。色とりどりの花々があたり一面を彩る様子、やはり温かい春にこそふさわしいですね。どんなに美しい花畑であっても、夏や秋の花の様子を表す言葉としては使われません。
輝いている
「爛漫」にはもう一つ、明るく輝いているという意味もあります。輝く、といっても夏の太陽のようなギラギラとした光ではありません。ここでもまた、表す季節は春です。ポカポカと温かい春の日差しのような優しい輝きを「爛漫」と呼びます。
「爛漫」の字義
「爛漫」という言葉の成り立ちを考えるために、この言葉に使われている漢字の意味を、それぞれ確認してみましょう。
「爛」の意味は明るいことや光ること。そしてただれること。皮膚やその下の肉が腐って崩れ落ちることです。へんの「火」はもちろん炎、つくりは浸しておくという意味です。
火の中に浸しておけば火傷して、皮膚がただれていくということですね。炎は明るいので、そのイメージから光という意味も持ったのでしょう。
「漫」は水がどこまでも広がっていくこと。とりとめなく、果てしなく流れていくこと。さんずいは当然水を表します。つくりは伸びていくという意味です。そこから、水が広がるように際限がないこと、しまりがないことを表します。
この二文字が合わさって、水が広がるように光が広がっていく、輝きに際限がない様子を表すようになったというわけですね。
「爛漫」を含む言葉
「爛漫」は単独で使われることはあまり多くありません。おそらく皆さんが見かけるのは、「春爛漫」と「天真爛漫」という2つの言葉でしょう。それぞれの意味や使い方を紹介します。
「春爛漫」
「春爛漫」は花が咲き乱れる春の情景を描いた言葉です。うららかな春の日差しの下、いっぱいに花が咲いているなんともほのぼのとした光景です。
社会人の方は時候の挨拶で見かけたことがあるのでは?「春爛漫の候」や「春爛漫の季節となりました」と使われます。時期はもちろん4月。地域や年にもよりますが、できれば花が咲き始めてから使うのが好ましいですね。
「天真爛漫」
「爛漫」のつく言葉と言えばやはり「天真爛漫」。無邪気で飾り気がなく、純粋そのものという意味です。あどけなくて幼気(いたいけ)な子供や、素直で正直な人柄を表すために使われます。まれに皮肉にもなります。
さてこの「天真爛漫」、出典は中国明代の随筆、『輟耕録(てっこうろく)』の20巻、『狷潔(けんけつ)』だといわれています。著者は陶宗儀(とうそうぎ)という学者です。
そこでは、優れた絵の出来を評するために「天真爛漫として物表超出る」と書いたとのこと。飾り気のない、ありのままの絵画の素晴らしさをたたえた言葉です。
「爛漫」の例文
- 頭上には爛漫と咲く梅の花、それが今夜の嵐で散ってしまわないかとただ不安に思っていたことだけは覚えている。
- 桜吹雪の下、手を繋いで散歩する。春爛漫とした公園で、そんなほほえましい姿を見た。
- この張り詰めた空気にはたえられない。天真爛漫な彼女が無邪気な発言で打ち破ってくれることを祈る。