「強請る」とは?
同じ漢字でも複数の読み方があり、それぞれ意味も異なる言葉は多く存在します。「強請る」はその代表的な例です。「強請る」には以下の4通りの読み方があります。
- ねだる
- ゆする
- たかる
- もがる
「請」という漢字には「願い求める」「頼む」という意味があり、「強請る」は「強く頼む」ということを意味します。「ねだる」の意味はここから転じたものです。
「強」には、単に程度が大きいという意味の「強い」の他に「強いる(しいる)」つまりは「無理に押し付ける」という意味もあり、「ゆする」などの意味は、こちらから来ています。
「強請る(ねだる)」
「強請る」の最も一般的な読み方は<ねだる>でしょう。小説などで「強請る」とルビがなく書いてあれば、ほぼ<ねだる>という読み方で間違いありません。
「ねだる」とは「無理に頼んで、物やお金をせがむ」という意味ですが、他の読み方・意味の中では、最も悪意の少ない語であると言えます。
「ねだる」という行為は、親や恋人などの相手の愛情や好意に甘えて行うことが多く、そこには脅して奪うようなニュアンスは含まれていません。
「おねだり」という言葉があるように、「おばあちゃん、これ買って?」のような可愛らしいわがまま・お願いのようなイメージです。
使い方
- 親に新しいゲームソフトをねだったが、誕生日まで待ちなさいと言われた。
- 彼女は常連さんにチップをねだっていた。
- スーパーで、子供が母親にお菓子をねだっている姿が可愛らしかった。
類語
- 頼む
- おねだりする
- せがむ
- お願いする
強請る:ゆする
「強請る」の読み方として<ゆする>があります。こちらも、比較的目にする機会の多い読み方ではないでしょうか。「ねだる」との混同を避けるためにも、一般的には平仮名で表記されることが多いようです。
「ゆする」とは、相手をおどしたり、弱みにつけこんだりして、金品を取り上げたり、自分に従わせたりすることです。
ドラマなどで、主人公の過去を知る人物が現れ、「バラされたくなけらば、金を用意しろよ」などと要求してくる行為が、まさに「ゆする」です。「ゆすり」として名詞形でも使われます。
使い方
- 彼は悪い友達から、お金をゆすられているらしい。
- これ以上、あの件でゆすられるのは、こりごりだ。
- お年寄りから金品をゆすろうとするなんて、許せない。
類語
- 脅迫する
- 恐喝する
- 取り立てる
- 脅し取る
強請る:たかる
「強請る」と書いて<たかる>と読むこともできます。「ゆする」と同じく漢字表記されることは稀で、平仮名で綴(つづ)られるのが一般的です。
また、「たかる」に「強請る」という漢字をあてるのは古い用法で、現在では「集(たか)る」という字の方が一般的です。
「集る」には「人が一か所に集まる」「虫などが群がる」という意味もありますが、「人を脅して、金品を取り上げる」という意味があります。お金があるところに集ってくる人に、虫のような嫌なイメージを持たせた言葉ですね。
「ゆする」よりは悪意が少なく、知人にねだって、金品や食事を提供してもらうというような意味ですが、しつこくまとわりつくようなニュアンスが込められています。無理やりおごらせる、意に沿わない買い物をさせる、という感じです。
使い方
- お年玉をためているのがバレて、兄貴にたかられた。
- あの学生は先輩たちに、たかってばかりだと評判だ。
- あの家族はお金がなくなると、こうやって祖母の家にたかりにくる。
類語
- 吸い取る
- 無心する
- 無理強いする
- 搾り取る
強請る:もがる
「強請る」は<もがる>とも読みます。意味は「反対する」「逆らう」「言いがかりをつけて、金品をゆする」です。「もがる」という言葉は古い語で、あまり使われていません。
漢字では「虎落る」とも書きます。こちらの表記については、「虎落(もがり)」という竹で作った柵や垣根を表す言葉に、読み方だけが残っています。