「ありがたい」の意味
「ありがたい」という言葉は、一般的には「有り難い」という漢字ではなくひらがな表記をされることが多いです。その意味は、大きく下の三つに分類されます。
①感謝をする
一つ目は、人の好意や協力に対して「感謝をする」という意味です。例えば、上司から激励の言葉をかけてもらった時に「ありがたいお言葉を頂戴して…」などのように使います。
②自分にとって好都合な状態
二つ目は「自分にとって好都合な状態で、うれしい」という意味です。これから遊園地に行く予定だったのに、ずっと雨が続いていたとします。しかし、出発しようと外に出たら晴天。無事に遊園地を満喫できたというようなとき、「ありがたいことに、出発する頃には太陽が出てきたんだよ。」などと言います。
③尊いさま
三つ目は「 自然に伏し拝みたくなるような尊いさまである」という意味で、神や仏を敬う表現です。「ありがたいお守り」「ありがたい説法」などのように使われます。
「ありがたい」:語源
前述の通り、「ありがたい」は漢字では「有り難い」と表記し、「有(あ)る」と「難(かた)い」という二つの語からできています。
そのまま文にすると「有ることが難しい=起こることや存在することが、難しい」という意から、「めったにない」「まれだ」という意味として使われます。この意味が転じて、「感謝すること」という意味で使われるようになりました。
仏教の教えに由来していると言われており、「人間に生まれることは、それほど難しいことであり、それほどに喜ばねばならないことだ」と、お釈迦様は説いているのです。とても深みのある言葉であることがわかりますね。
ビジネスシーンでの「ありがたい」
円滑なコニュニケーションをとるためには、相手に感謝の気持ちを表すことはとても重要なことです。そのため、感謝の意味を持つ「ありがたい」という言葉はビジネスシーンでもよく使われます。
アドバイスをしたり、激励をしたりしたときに「ありがたいお言葉を…」「ありがたく頂戴する」のように感謝の気持ちを丁寧に表現されて、悪い気がする人は少ないでしょう。
会話において、相手の申し出を断る場合のクッション言葉としても有効です。「ありがたいお話ですが…」「ありがたいお誘いですが…」と一言入れることによって、「本当は嬉しくて感謝していますが…」と、相手のことを気遣う丁寧な表現になります。
使い方について
「ありがたい」をビジネスシーンで使う際に、気をつけなくてはいけない点があります。「ありがたい」という言葉自体に悪い意味はないのですが、使用法を誤ると、若干カジュアルな言い回しになってしまうのです。
最近、「ありがたいです。」という言葉を使う人が多く見受けられますが、「形容詞+です」の文型は、幼稚なイメージを与えることがあります。乱用は避け、「ありがとうございます」としっかりと感謝の気持ちを伝えることも必要でしょう。
「ありがたい」:使い方
- 先日は、ありがたいお言葉ありがとうございました。
- ありがたいお話ですが、私はこの部署で頑張らせていただきたいと思っています。
- ありがたいことに、個展を開かせてもらえる運びとなった。
- あのお寺でありがたいお話を聴けるそうだよ。それは、ありがたや。
「ありがたい」:類語
もったいない
「もったいない」は、物を粗末にした場合にも使う言葉でもありますが、目上の人からの身に余る好意や親切に対して、感謝するという意味もあります。
相手を敬う気持ちが強い表現で、「自分などには不相応である」というような、身に過ぎて、恐縮してしまうほどの思いがある場合に使われる言葉です。
恐れ多い
「恐れ多い」は「恐ろしいほどに、ありがたい」という強い言い回しです。例えば、社長などにお褒めの言葉を直接いただいたら、もちろん嬉しくもありますが、驚き、恐縮し、頭が上がらないですよね。
このように、はるか目上の人から受ける行為に対し、自分にはもったいなさすぎると恐縮する気持ちのを表します。
かたじけない
時代劇などで、感謝の意味を表す言葉として「かたじけない」という言葉を耳にしますね。日常生活ではあまり使われない言葉ですが、謝意や恐縮であるという気持ちを表すことができます。
ビジネスの場面では、「誠にかたじけなく存じあげます。」のように、心からの強い感謝などを示すときに使われることもある言い回しです。かなり堅い表現になりますので、使用する場面は慎重に選びましょう。