「わかりやすい」とは
「わかりやすい」は、漢字では「分かり易い」と書きます。「分かる」と「易い(易し)」が組み合って生まれた言葉ですね。「わかりやすい」とは、「平易で理解することが簡単であること」という意味です。
「わかりやすい」の中には、ある条件がついているものもあります。「小学生でもわかりやすい〇〇」「中高年にもわかりやすい〇〇」とは、その範囲の人たちのわかりやすい内容ということです。
また、仮に5人で打ち合わせをしているとします。ある人の意見に、4人の人が首を縦に振っているなら「わかりやすい」、反対に4人の人が押し黙っているようなら、「わかりにくい」意見だ言えるでしょう。
「わかりやすい」の使い方と類語
普段、何気なく使っている「わかりやすい」ですが、用法はさまざまです。ここでは、「わかりやすい」のニュアンスごとに分類した使い方と類語を見ていくことにします。
1.すぐに理解できる
小さな子どもに説明を求められた時に、絵や写真を使うと目を輝かせてくれますよね。同じように、子どもの表情を見て、親や先生も子供が理解してくれたことを察知します。
それと一緒で、「わかりやすい」には、見ただけで、聞いただけで、すぐにそれだと分かるというニュアンスがあります。
【用例】
「正」の字を一字ずつ書き加えて数を数えていくと間違わないしわかりやすい。
おでんやカレー、みそ汁の味を「おふくろの味」と呼ぶのはわかりやすい。
【類語】
- 簡潔明瞭(かんけつめいりょう):簡単でわかりやすく、はっきりした状態
- 単純明快(たんじゅんめいかい):すっきりしていて、わかりやすいこと
- 判然(はんぜん):はっきりしていて、よくわかること
- 顕著(けんちょ):だれの目にも明らかなほどはっきりあらわれているさま
2.内容や性質が理解しやすい
食料品売り場へ行って、生鮮食品などを選ぶ時、商品に掛けられたラップに、求める情報が書かれたラベルが付いていて助かることがありますね。
これは、食材を選びやすくしてくれている一例です。消費者は、ラップを通して中身を確認でき、ラベルで商品情報を知ることができます。知りたい人が知りたい内容をすぐに確認できることを表した「わかりやすい」があります。
【用例】
- 彼は言葉はキツイけれど、裏表のないわかりやすい性格だ。
- このファイリングはタグによる分類があるのでわかりやすい。
【類語】
- 単純明快(たんじゅんめいかい):すっきりしていて、わかりやすいこと
- ありのまま:そのまま、見たまま、といった率直な様子
- 端的(たんてき):手っ取り早く核心を突く時やはっきり言うこと
- 分明(ぶんめい):他との区別がはっきりついている明らかな状態
- 簡潔(かんけつ):簡単で要領を得ている様子
3.一貫している
発言している人の意見が二転三転すると、何が言いたいのかがうまく伝わってきません。逆に、話すべき内容をあらかじめ整理できている人の意見は言葉に澱みがなく、聞く側にとっては「わかりやすい」意見だと言えます。
このように、筋が通っていること・一貫していること、そのために情報がスムーズに頭に入ってくることを指して「わかりやすい」という言葉が使われます。
【用例】
- 僕は無宗教だけど、お釈迦様の言っていることは率直でわかりやすいと思う。
- あの先生の説教だけは、理路整然としてわかりやすいと評判だったな。
【類語】
- 論理的:考えや進め方にしっかりと筋が通っていること
- 科学的:説明や行動が科学て明かされた内容に基づいていること
4.疑う余地がない
最近のコンサート会場では、犯罪抑止のために、入場時に身分証明書の提示を求めるアーティストがいます。昨今の社会情勢を見ると、これもやむを得ないことかもしれません。
このように、不特定の人の中から特定の人を見定める際には、その人固有の情報が必要になってきます。指紋認証などもそのひとつですが、疑う余地のないものを提示することで相手にとっての安心感、「わかりやすい」が生まれます。
【用例】
- 列車の指定席券は、日時・列車番号がはっかりと明記されていてわかりやすい。
- 令和元年が2019年だと記憶しておけば、今後、令和の年数もわかりやすい。
【類語】
- 明白:はっきりとわかり、疑う余地がないこと
- 明確:はっきりしていて間違いがない様子
「わかりやすい」の英語表現
英語では、「わかりやすい」と似た意味を持つ言葉に「simple」(シンプル)があります。企業のキャッチコピーだった「Simple is Best」は、日本人にもお馴染みの言葉ですが、単に簡単なことや単純であることを「称賛」しているのではありません。
simpleを掘り下げると?
「Simple」という語に少し深い意味を求めるならば、「素朴」とか「簡素」という概念が現れます。品物や言葉、方法や手段などから余分なものを削ぎ落とした状態(結果)です。そして、それはまた「洗練」という言葉に置き換え可能な概念です。
英語において「わかりやすい」とは?
「わかりやすい」とは、すなわち「洗練されている」ことであり、英語で「洗練されている」とは、以下の3つの言葉のうちのひとつを使います。
- 「sophisticated」(ソフィスティケイテッド)
- 「elegant」(エレガント)
- 「smart」(スマート)
いずれも言葉の意味は、「垢抜けして磨きのかかったこと(状態)」を表し「都会的で知的な様子」を指しています。つまり「粋」だということです。どうですか?英語の「わかりやすい」は随分「クール」で「カッコいい」ことなんですね。