「今一度」とは？意味や使い方をご紹介

「今一度（いまいちど）」とは同じことをもう1回繰り返すことを意味する言葉です。主に丁寧な表現が求められる場面で使用されます。

「今一度」の「今（いま）」は副詞で、それまでの状況に対して何かを少しだけ加えることを表します。

例えば、「今一度資料をご確認ください」という文の場合『一度資料を確認されたと思うが、さらにもう1回確認して欲しい」というニュアンスが含まれています。

「今一度」に使用されている「今（いま）」は、かつては母音の「い」が脱落し「ま」と表現されていました。古語において、「ま」は「さらに加えて」という意味を表します。この「ま」がさらに変化し「も」「もう」という表現ができたのではないかと考えられます。

かしこまった場面において、相手に同じことをもう一度してほしいときや、自分が改めてしなければいけないことがある場合に、「今一度」を使用します。

敬語を使用するビジネスシーンや大勢の人が集まる講演会などで使用されることが多いです。友人や家族とのプライベートの会話では「今一度」が用いられることは、ほとんどありません。

• 今一度、演奏者の皆さんに大きな拍手をお願いします！
• 以上の2点につきまして今一度ご確認をお願い致します。

「今一度」の類語をいくつかご紹介します。全て「同じことを更に1回繰り返すこと」を表す意味の言葉です。

すでに使い分けをご存知の方も、「今一度」ご覧いただき、シーンによる使い分けを試みてください。

「もう一度」は「もういちど」と読みます。先程ご紹介した「今（いま）」の「ま」が変化した「もう」が使用されています。

「今一度」に比べるとフランクな表現で、友人や家族同士の会話に使えます。また、ビジネスシーンでの使用も可能です。

【例文】

• もう一度調べてみます。
• できればもう一度確認してみてください。

「もう一遍」は「もういっぺん」と読みます。こちらも「今（いま）」の「ま」が変化した「もう」が使用されています。漢字ではなく、ひらがなで表記されることも多いです。プライベートの会話で使われることの多い表現です。

【例文】

• もう一遍教えて欲しい。
• さっきはお店が閉まっていたので、もういっぺん行ってくるね。

「もう一回」は「もういっかい」と読みます。もう一度やもう一遍と同様に、「今（いま）」の「ま」が変化した「もう」が使用されています。

【例文】

• この問題をもう一回訳してみよう。
• もう一回教えて。

「再度」は「さいど」と読みます。再び（ふたたび）行うことを表しています。プライベートの会話でも使用できますが、ビジネスシーンなど、敬語を使用する場面で使われることの多い表現です。

【例文】

• 再度ご連絡を差し上げます。
• 再度お手続きをお願い致します。

「重ねて」は「かさねて」と読みます。「今一度」より更にかしこまった場面で使用します。

似た表現に「重ね重ね（かさねがさね）」がありますが、「重ね重ね」は何度も繰り返すことを表す際に使われます。「1度だけ繰り返すこと」を表現するためには「重ねて」とする方がふさわしいでしょう。

【例文】

• この度はお手間をとらせてしまいましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
• 重ねてご質問させていただきます。