「タヒ」の意味
「タヒ」とは「死」という漢字の下半分を表現したネットスラングで、若者やネットユーザーを中心に使われています。「タヒる」や「タヒね」といったように動詞化させて使うことが多いです。
「タヒる」とは
「タヒる」は「とても疲れている」「つらい状態」といった意味で使われます。とくに若者がメールやLINEなどで使う「タヒる」は、こちらの意味合いで使われることが多いです。
「タヒ=死」と聞くと深刻な事態をイメージしがちですが、そこまでネガティブな意味合いはありません。どちらかと言うと、死ぬほど大変な状況を冗談っぽく笑い飛ばすニュアンスが含まれています。
「タヒね」とは
一方で「タヒね」の場合は、インターネット掲示板において相手を罵倒したいときの悪口として使われています。私たちが普段イメージする「死ね」という言葉に近いニュアンスで用いられます。
直接「死ね」と書かずに、あえて「タヒね」と表記するのには理由があります。ひとつは「死ね」という言葉があまりにも過激だという点です。もう一つは「死ね」という言葉が犯罪予告として捉えられてしまうリスクを避けるためです。
これらの理由からインターネット掲示板では「タヒね」や「氏ね」「市ね」といった置き換え表現が数多く用いられています。ただし直接的な表現ではなくとも、相手を罵倒していることに変わりはありません。平和で楽しい掲示板運営のためにも、なるべく使用を避けるべき言葉と言えるでしょう。
タヒの使い方①:疲労困憊
(A)
部活の練習マジきつくてタヒるわー
(B)
連勤10日目となると、さすがの私もタヒるわよ・・・
タヒの使い方②:相手を煽る
(C)
タヒねよこの野郎!
(D)
タヒんでどうぞ。
「タヒ」の由来
「タヒ」が誕生したのは2000年代初期と言われています。2000年に発生した西鉄バスジャック事件の犯人とみられる人物が、犯行直前にインターネット掲示板「2ちゃんねる(現在の5ちゃんねる)」に犯行予告と見られる書き込みをしていたことが、当時話題となりました。
この事件をきっかけに「2ちゃんねる」の知名度は高まりましたが、一方でインターネット掲示板に対して警戒や監視の目がより一層向けられることとなり、不審な書き込みへのチェック体制が厳しくなりました。
事実、この事件の犯人を模倣して掲示板に犯罪予告を書き込んだ人物が逮捕・補導される事案も数件発生しており、そのたびにネット上では注意喚起がなされていました。
このような背景から、ネット掲示板において「死ね」という直接的な表現は避けられるようになり、かわりに「氏ね」「市ね」「タヒね」のような置き換え表現が多用されるようになったのです。
「タヒ」と似たネット上の漢字分解表現
上述のとおり「タヒ」は「直接的な書き方を避ける」という目的で使われていますが、一方で「強調させる」意図で用いられることもあります。
1文字の漢字をあえて分解して2文字にすることで、横幅が2倍となり読む人の目に留まりやすくなります。大量の文字で溢れている掲示板スレッドにおいては、少し文字を大きくするだけでも、かなり見栄えが変わってきます。
たとえば、ネット掲示板でよく使われるのが【ネ申(神)】や【糸冬(終)】といった表現です。こうして見ても、たしかに大きく見えて目立っていますよね。