「レガシー」の意味
英語のlegacyの意味は「(遺言による動産の)遺贈や遺産」あるいは「祖先や先人が残した精神的・物質的遺産、遺物、受け継いだもの」「旧態依然としたもの」のことです。もちろん「レガシー」を英語と同じ意味で使って、全く問題はありません。ちなみに英語ではheritageも遺産と翻訳されますが、こちらは世界遺産のような、主にお金に換算しにくいもののことを言うようです。
現代における「レガシー」の意味は
ただ、現在ではもう少し発展させた使い方が主流です。
「未来に残したい実績・建造物」
「古くから存在するもの・枠組み・考え・ブランド」
という意味で使われるようになりました。「レガシー」が2016年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされた時も、意味的にはこちらでした。また、「レガシー」の価値判断にもパターンがあって、ポジティブでよいもの、逆にネガティブで悪いもの、どちらでもないものの3つです。どう捉えたらよいかは、前後の文脈を見て判断すべきでしょう。
クルマの名前として
SUBARU(スバル)の人気車種の名前として使われています。正確には「レガシィ」という表記になりますが、車体には大文字でLEGACYの文字があります。初代は1989年に発売され、その後レガシィの代名詞となるツーリングワゴンタイプが人気を博しました。「未来に残したい実績」という名前の車は、その名の通り、現在でもシリーズが継続されています。
「レガシー」の語源
英語のlegacyの由来はラテン語と言われています。ただし、元になったとされているラテン語のlegatusは大使・行使の意味です。綴りが似ているlegantia(=アングロ・ラテン語で遺産の意味)と混同されたのだと言われていますが、このあたりはいくつか説があるようです。
「レガシー」とオリンピック・パラリンピック
「レガシー」の拡大解釈の背景には、オリンピック・パラリンピックがあります。「レガシー」が大きくクローズアップされるようになったのは、2012年夏季オリンピック(開催地:ロンドン)の招致活動あたりからです。オリンピックの開催に向けて準備したインフラや建造物を、その場限りではなく「未来に残したい実績」として次世代に渡そうという方針を掲げ、実行されました。
2013年には国際オリンピック委員会(IOC)が、この理念を「オリンピック・レガシー」としてブックレットにまとめています。現在では開催地決定プロセスに欠かせない、重要な要素とされています。
2020年東京オリンピック・パラリンピックを視野に
さらに、2020年東京大会の開催計画では、IOCの理念に基づき「アクション&レガシープラン」が宣言されました。街づくりやスポーツ文化・教育、関係する企業の技術力向上まで盛り込まれた、大規模なプランとなっています。ここまでくると単に「遺産」の枠内では収まり切れないのもうなずけます。
現代における「レガシー」の使い方①
「ブラウン管のテレビなんて、レガシー以外の何者でもないよ」
「レガシーに足を引っ張られていては、対応が後手に回ってしまう」
「新デバイスの登場は、かつての大ヒット機を一気にレガシーへと変えてしまった」
「新たなレガシーの創出こそ、このプロジェクトの最大のテーマだ」
「ブランドのレガシーは、デザインの根底に確固としてある」
「世界大会の開催を機に整備された施設は、次の世代のレガシーとして受け継がれていくでしょう」
現代における「レガシー」の使い方②
「レガシー」単独ではなく、いろいろな言葉とセットにして使うケースが多いのが特徴的です。その点では非常に使い勝手のよい言葉です。
レガシーシステム=もはや古くなったコンピューターシステム
レガシーフリー=伝統的な規格を備えていないこと
レガシーインターフェイス=古い機器との互換性のためだけに装備されるインターフェイス
レガシーコスト=負の遺産、過去のための負担
レガシーアドミッション=アメリカの大学入試における優遇措置
レガシーメディア=既存の情報媒体、テレビや新聞など