「しくじる」とは?
「しくじる」の意味
「しくじる」とは、主に、「失敗する」、「やりそこなう」や「過失などにより地位や職などを失う」という意味で使われる言葉です。
また、あまり使用されませんが、「しくじる」には「人の機嫌をそこねる」という意味もあります。
「しくじり」は「しくじる」の名詞形で、「し損ない」、「失敗」、「過失による失職」などの意味があります。
「しくじる」の使い方
- 「調子に乗ってしくじった。」
- 「そんなやり方ではしくじるのも無理はない。」
- 「次にしくじったらただじゃおかないからな。」
- 「もしこの商談でしくじることがあれば、かなりのペナルティがあるだろう。」
「しくじる」の語源
「しくじる」という言葉の語源には諸説あります。有力な説の一つは、「している仕事が途中で崩れる」という意味の「為(シ)」+「崩る(くずル)」から派生したという説。
もう一つは「仕事の途中でくじけてしまう」という意味の「為(シ)」+「挫ける(くじケル)」から派生したという説ですが、正確なところは分かっていません。
「しくじる」の類語
「しくじる」の類語には、「し損なう」、「躓く(つまずく)」、「下手を打つ」、「抜かる」などが挙げられます。
また、ややフランクな表現として、「ドジを踏む」、「ヘマをする」、「ミスを犯す」、「やらかす」なども、「しくじる」を言い換える言葉として用いることができるでしょう。
「しくじる」の当て字
「しくじる」の漢字表記は辞書には記載されていませんが、小説などで「しくじる」や「しくじり」とルビを振られていることがある単語(当て字)には、次のような例があります。
「失敗」・「失策」
「しくじる」という言葉が持つ「失敗」という意味から、これらの漢字が当てられたのでしょう。国木田独歩・著『鹿狩り』では、次の通り、「失敗話」に「しくじりばなし」と読み仮名が振られています。
大概は猟の話であった。そしておもに手柄話か失敗話(しくじりばなし)であった。
次の引用は、島崎藤村・著『犬』からの一節で、こちらは「失策」を「しくじり」と読んでいます。「失敗」と「失策」は同じような意味なので、「しくじり」とルビを振る際の使い分けの法則は特になさそうです。
ある下婢(かひ)はまことに人の好(い)いものでは有つたが、しかし心の浮々とした女で、長く奉公する間には幾度となく失策(しくじり)をして、その度に詑わびを入れて来た。
「縮尻」
辞書には「縮尻」という言葉はなく、小説などの中で「しくじる」の当て字としてのみ使われます。この字が当てられる理由について、はっきりしたことは分かっていません。
「縮尻(シュク・しり)」という音に由来するとも、「縮(ちぢむ、ひきしまるの意)」+「尻(後、結末の意)」→「勢いが無くなって結末まで到達できなかった」というニュアンスから「しくじる」の当て字に使われるようになったとも考えられます。
下の引用は、野村胡堂・著『銭形平次捕物控 -怪伝白い鼠-』の冒頭の一節です。この『銭形平次』ではシリーズを通して、平次の異名以外で用いられる「しくじり」にも「縮尻」を当てています。
捕物の名人と言われている癖に、滅多に人を縛らないから、一名縮尻(しくじり)平次ともいう、読者諸君にはお馴染の人物です。
「しくじり」をタイトルに含む作品
『しくじり先生 俺みたいになるな!!』/テレビ番組
『しくじり先生 俺みたいになるな!!』は、「人生を盛大にしくじった人から『しくじりの回避法』を学ぼう!」をテーマにしたバラエティ番組です。テレビ朝日系列で2014〜17年まで放送され、2019年より放送再開されました。
毎回、様々な「しくじり先生」が登場して、他の人が自分と同じ失敗をしないように、生徒役のゲストや視聴者に授業を行うという形式で、過去には、森永卓郎が「経済アナリストなのに経営に失敗しちゃった先生」、堀江貴文が「世の中舐めすぎて逮捕されちゃった先生」として出演しています。
『縮尻鏡三郎』シリーズ/小説
佐藤雅美(さとうまさよし)による、江戸を舞台にした時代小説『縮尻鏡三郎』シリーズは、全9巻刊行されています。
もとは勘定方勤めだったものの、仔細あって首となり、今は「大番屋(留置施設)」の元締めをしている拝郷(はいごう)鏡三郎を主人公とした事件物で、1999年に『しくじり鏡三郎』としてNHKでドラマ化されました。