「致した」とは?意味や使い方をご紹介

「致した」とは、「致す」の活用形のひとつです。「承知致しました」「お願い致します」など日頃よく使っている方もいらっしゃると思いますが、その意味をしっかり説明することができるでしょうか?ここでは、「致す」や「致した」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「致した」とは?
  2. 1.「至らせる」という意味・使い方
  3. 2.「~する」の謙譲語・丁寧語としての意味・使い方
  4. 3.スラングとしての意味・使い方
  5. 「致す」の語源
  6. 「致す・致した」の英語表現

「致した」とは?

「致した」とは、動詞「致す」の連用形「致し」に過去・完了などをあらわす助動詞「た」をつけた表現です。

「致す・致した」には、大きく分けて次の3つの意味があります。

  1. 「至らせる」
  2. 「~する」の謙譲語・丁寧語
  3. スラングで「自慰行為をする」

これらの意味について、使い方とともに順に見ていきましょう。

1.「至らせる」という意味・使い方

「致す・致した」の動詞としての用法では、「至らせる」「届かせる」「結果として何かをもたらす」などの意味があります。「不徳の致すところ」という表現に見られるように、「不本意な結果に至る」というニュアンスもあります。

主な意味

  • (極限まで)いたらせる。およぼす。
  • (精根を)つくす。(身命を)ささげつくす。
  • (作用を相手に及ぼす意で)仕向ける、仕掛ける。
  • 結果としてもたらす。引き起こす。
  • たばかる。だます。

使い方

  • 時々、故郷に思いを致すことがある。
  • 今回の不祥事は、私の不徳の致すところです。
  • うまく致してやった。(だましてやった)

2.「~する」の謙譲語・丁寧語としての意味・使い方

「致す・致した」には、「~する」を丁寧に表現する謙譲語としての使い方があります。今日見かける「致す・致した」は、この用法が多くなっています。「する」を「します」、「します」を「致します」とすることで、順に丁寧な言い方になります。

特にビジネスの世界では必須の表現となっており、相手に失礼にならないようしっかりと使いこなすことが求められます。

主な意味

  • 「する」を丁寧に、荘重(そうちょう)にいう語。
  • 「する」の謙譲語。動作をあらわす名詞、または動詞の連用形の下につけて用いる。
  • 「する」の尊大語。

使い方

【丁寧な言い方として】

  • 委細承知致しました。
  • 明日の午後二時にお伺い致したく存じます。

【お願いしたいとき】
  • 今後ともよろしくお願い致します。
  • 切にお願い致します。

【断りたいとき】
  • 申し訳ありませんが、弊社ではそのような対応は致しかねます。
  • 個別の質問にはお答え致しかねます。あらかじめご了承ください。

「致します」と「いたします」

「致します」と「いたします」は、使い分けたほうがよい場合があります。

他の動詞に付属して補助的に「致します」が付く場合、公文書上ではひらがな表記するルールがあり、「お願いいたします」が正式な形です。また、動詞としての「致す」には悪い結果に至るというニュアンスがあることも避けられる理由です。

ただし、「よろしくお願い致します」という表現も慣例的に用いられており、誤りとまではいえません。一般的なビジネスシーンで「致します」「いたします」の使い分けが問題になることはほとんどないといえるでしょう。

3.スラングとしての意味・使い方

「致す・致した」には、スラングとして「自慰行為をする・した」という意味があります。インターネットの掲示板やSNSでこの表現を見かけ、かつ、「何を致した」のか明確になっていない場合、この用法に該当する可能性があります。

自慰の対象に精根をつくすこと、さらにその行為を丁寧に奥ゆかしく隠語的に表現するニュアンスが由来であると考えられますが、正確な由来は不明です。あくまでもスラングですので、使用する場面には注意しましょう。

使い方

  • 致したので、寝る。
  • 〇〇(キャラクター名など)と致す。

「致す」の語源

「致す」は、「至(いた)る」や「頂(いただき)」と同源の言葉であり、もともとの意味は「至らせる」「まねきよせる」「きわめる」「つくす」「行き着く」などです。

「致」の字は、「歩いて行く」を意味する「夊」(すい)と、「いたる」を意味する「至」(し、ち)から成り立っています。現用の字のつくりが「夊」ではなく「攵」(ぼく)になっているのは、書き誤りの俗字が定着してしまったものです。

「致す・致した」の英語表現

英語には単語レベルでの敬語表現がないこともあり、「致す・致した」を英語で表現したい場合には「do」(~する)、または状況に見合った動詞を丁寧な表現の中で使用すれば十分です。

例文

  • What can I do for you?([店員が客に]何に致しましょうか?)
  • I appreciate your continuous support.(今後ともよろしくお願い致します)
  • I will contact you separately.(別途ご連絡致します)


人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ