「知らない」の意味
「知らない」は「知る」や「知っている」の否定形です。なので、まず「知っている」の意味から見ていきましょう。
知っている
- 知識や理解がある。
- 感じ取る。
- 付き合いや関係がある。
「知らない」の意味は主に上記の3通りです。1は「麻婆豆腐の作り方を知っている」のように知識があるという意味です。
2は身をもって理解する、思い知るという意味で、「肉体労働の苦しみを知っている」などと使われます。
3の例は「彼のことはよく知っている」です。面識がある、交際していることを指します。
知らない
「知らない」の意味は次のようになります。
- 知識や理解がない、あるいは足りない。
- 体験として現実に味わったことがない。
- 無関係である。
「知らない」の使い方
- 「14時に部長とアポとったっていうお客様が来てるけど、何か知ってる?」「いや、知らない。部長会議もうすぐ終わるからとりあえず応接室で。」
- 「あなたはまだ、本当の立川を知らない。」
- 「私は脱税なんて知らない。すべて秘書がやったことなんです。」
1は単にアポイントメントについて何か聞いていないか、知識を聞いています。なので、返答の知らないは知識がないという意味です。2は表面的な知識はあるかもしれないが、深いところ、隠された事柄までは認識していないという意味で使われています。3はもちろん、自分は関与していないという意味ですね。
「知らない」の類語
思い至らない
耳慣れない表現かもしれませんが、「知らない」の類語に「思い至らない」というものがあります。
察しの良い人はわかるかもしれませんが、「思い至る」という言葉の否定形です。「思い至る」は思考が及ぶこと。考えてみて、知識や理解に到達することを指します。
見当もつかない
「見当もつかない」もまた、「知らない」の類語です。「見当」とは目途や目安、見積もりのこと。
「見当がつく」は大体どれくらいのことなのか、どういうことなのか想像したり予想したりすることです。それができないということは、それだけ関わりがないということです。
わからない
難しい言葉以外では、「わからない」があります。「わかる」はもちろん理解しているということです。なので、理解していないという意味では「知らない」と同じです。
IDK
「IDK」は「知らない」の英訳「I don`t know.」の頭文字をとった略語です。
「知らない」の敬語
「知らない」は普段の会話でも使われますが、ビジネスでもよく使われます。ビジネス分野で使われる場合たいていは敬語になりますが、敬語は間違うことも多いもの。そこで今回は「知らない」の敬語表現を紹介します。
存じません
「知っている」を敬語にすると「存じている」になります。では、「知りません」はどうでしょう。答えは「存じません」です。人が対象なら「存じ上げません」になります。一方、ものについてなら「存じません」を使います。
例
- 新商品のことは存じません。
- その方のことは存じ上げません。
わかりかねます
「知らない」や「わからない」と伝える表現に、「わかりかねます」があります。「わからない」と同じ意味の敬語です。丁寧語に分類される言葉で、「存じません」と言い換えて使うこともできます。
聖書に出てくる「知らない」の逸話
『新約聖書』に出てくる逸話に、こんなものがあります。イエス・キリストは最後の晩餐の時、一番弟子のペトロに予言しました。「朝になって鶏がなく前に、君は私のことを知らないと3回言うだろう」
その後イエスが逮捕され、お前もイエスの仲間かと人々に問われたペトロは、「自分は関係ない、その人のことは知らない」と口にします。知らないと三回言った後、鶏が鳴いて朝を告げます。そしてペトロは、予言が真実になったことを知るのです。