「得手」の意味や使い方
「得手」は「えて」と読み、もっとも得意とすること、得意なことの意味です。
- 自分は歌うのはあまり得手ではない
- 得手不得手がある
- 得手に帆を揚げる(得意なことを調子に乗ってすること。「得手に帆」と略す場合もある)
「得手」の現在は使われていない意味
「得手」は江戸時代に盛んに使われた、やや古い言葉であるため、現在では使われていない意味合いがいくつかあります。
- 「得手勝手(自分の都合ばかり優先して他人のことを考えないこと)」の略。
- 相手だけに通じる、特に具体的な名を出さずに言う言葉。例の所、例の物、例の人といった意味合い。
- 酒のこと。
- 猿のこと。サルが「去る」に通ずるための忌み言葉。えてきち、えて公。
- 戸のさるかぎ(雨戸などの桟の上または下に取り付けて戸締りとする形式の鍵)のこと。
「得手」の類語
「得手」の類語は「特技(とくぎ)」「専売特許(せんばいとっきょ)」などがあります。自分が得意とする技の意味です。
この中では「特技」がもっとも広く一般的に使われます。「特技」「専売特許」は特別の技能や技術のことで、特に「専売特許」は他の追随を許さないものについて言います。「得手」も、一つの方面に巧みである場合が多いです。
使い分けの例
- あなたの□□はなんですか?…○得手、○特技、○専売特許
- カラオケは彼の□□だ…△得手、○特技、○専売特許
- 走るのは□□ではない…○得手、×特技、×専売特許
- 変わった□□の持ち主…×得手、○特技、×専売特許
その他に意味合いの似た言葉
- スペシャリティー
- 適性
- 向いている
- 見所(みどころ)がある
- 見込みがある
- 筋(すじ)がいい
- 腕を誇(ほこ)る
- おはこ
- 餅は餅屋(もちはもちや)
- お手のもの
- 十八番
- お株(かぶ)
- お家芸(いえげい)
- 一本槍(いっぽんやり)
- 一枚看板(いちまいかんばん)
「得手」の英語
「得手」の英語は、a special ability、a specialty(特技)などがあります。
- 得手不得手…one's strong and weak points
- 得手に帆を揚げて事業に成功した…He was lucky enough to find his own forte in business and it brought him success.
- 彼の特技は逆立ちして歩くことだ…His specialty is to walk(standing) on his hands./His special trick is to walk(standing) on his hands./His special stunt is to walk(standing) on his hands.
- 人の名前を覚えることが彼女の特技だ…Remembering names is her forte./She has a special gift for remembering names./She has a special talent for remembering names.
- 彼は算数が得手(得意)だ…He is good at arithmetic.
- 誰でも一つくらいは得手(得意)があるものだ…Everybody has at least one thing that he can do well.
- 英語は私の得手(得意)な学科ではなかった…English was not my best school subject./English was not my strongest school subject.
- この画家は静物を得手(得意)とする…This artist's forte is still life.
- 彼は得意の弁舌で相手を煙に巻いた…He befuddled his adversary with his usual eloquence.