「稀有」とは?意味や使い方をご紹介

最近は、スマホのゲームなどが流行り、「激レア」という言葉が浸透しています。わかりやすい言葉に直すと「めったにない」という意味になりますね。それを「稀有」と言うこともあります。今回は「稀有」の意味や使い方を中心にご紹介します。

目次

  1. 「稀有」(けう)の意味
  2. 「稀有」の語源~【稀】一字から読み解く~
  3. 「稀有」と『ありがとう』は似ている
  4. 「稀有」の使い方
  5. 「稀有」まとめ

「稀有」(けう)の意味

①めったにないめずらしいこと。
②不思議なこと、
③意外なこと、とんでもないこと


という意味がありますが、現在では、①の意味で使われることが多く、「めずらしい」という意味ですが、ほとんどが良い意味で使われます。
 

「稀有」の語源~【稀】一字から読み解く~

漢字は古代の中国で作られたものですが、象形文字が原型となっています。象形文字とは、ものの形をかたどって描かれた文字で、絵文字から発展して生まれたものと考えられています。

今回は、「稀(まれ)に有る=めったにない」という意味の「稀有」の「稀」に着目したいと思います。「稀」一字のみでも、「めったにない」という意味であることは日常生活でも使いますのでご存じかと思います。この「稀」の漢字の構成を象形文字で考えてみましょう。

【稀】スカスカの田んぼ

「稀」の「禾」は「穂先が茎に垂れ下がる意味の象形文字がもとであり、「稲」を表します。「希」は、「織り目」という意味の象形文字と、「布きれ」という象形文字が組み合わさっており、「織り目が少ない」という意味で、後に「少ない」という意味に変わりました。ですから、「稲が少ない」田んぼ、要するに、「スカスカの田んぼ」の状態ということです。

食料を作る田んぼの苗をわざわざ疎ら(あばら)に植えることは、「めったにない」ですよね。田に使用する土地をフル活用するのが普通です。ですから、「稀」という語の意味が「めったにない」という意味になったと言われております。

「稀有」と『ありがとう』は似ている

「めったにない」という意味の類義語は様々ですが、私たちが心掛けて毎日使いたい「ありがとう」も実は「稀有」の意味の由来に非常に似ています。
 

『ありがとう』は『有難う』

私たち、日本人は相手から良い行いを受けると、自然と「ありがとう」と言います。「ありがとう」を漢字に直しますと、「有難う」です。形容詞の「有難し」の連用形のウ音便の「有難う」という形がもとになっていますが、「有る(ことが)難しい」という意味の形容詞です。ですから、「稀有」の「稀に有る」=「めったにない」に非常に近い意味になります。

しかし、私たちに定着している「ありがとう」は、感謝の意味となっており、もはや習慣化しているので、「めったにないことです。」という意味であることを意識して使うことはありません。

「稀有」と『有難う』~先人たちの感謝の気持ち~

そもそも「有難う」は、平安時代から鎌倉時代あたりまでは、「めったにない」ということで、冒頭でお示しした「稀有」の③の意味に近く、「とんでもないこと」の意味で使われていました。「めったにない」ことが自分の身に起こってしまって過ごしにくいという意味です。これも、『稀有』と『有難う』の共通点です。

しかし、鎌倉時代から仏教が日本中に広まり始め、「有難う」の意味が変化していきます。仏教のお釈迦様の話が由来で、「私たちがこの世に人間として『生』を受けることは、この亀が丸太の棒の穴に首を入れることが有るより、難しいことで有難いことなんだ。」と説いたそうです。

そして、仏教が日本に広まり、「めったにない素晴らしいことを身に受けた時」に「有難し、有難し」と仏様に対して感謝の気持ちを表すようになりました。その後、室町時代から「人」に対しても使われるようになり、「有難う」とお互いに感謝の気持ちを表すようになったとされています。

同様に「稀有」も現在、前向きに使われることが多いと冒頭で説明しましたが、やはり、日本人に「有難う」が浸透していることによって、「稀有」=「めったにない」が前向きに使われているのだと推察します。

「稀有」の使い方

ここまで皆さんにお伝えしてきたように、人を褒める時に使うことが適切です。

例)
A「君は稀有な人材だよ!是非わが社にきてくれ!」
B「はい!光栄です。有難うございます!」

となり、お互いに感謝し、褒め合うという素晴らしい関係性が生まれるような使い方が良いのではないかと思います。

「稀有」まとめ

「稀有」の語源を考えると、「スカスカの田んぼ」は「めったにない」と、ネガティブな意味になってしまうはずです。「稀有」という言葉も「有難う」という言葉もそれぞれ前向きに考えることのできる文化を築き上げてくれた先人たちに、私たちは感謝をしなければなりませんね。

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