「取り繕う」を「取り」と「繕う」に分けた場合の意味
「取り繕う」の「取り」は動詞の上に付く接頭語で、意味を強めたり語調を整えたりする役割があります。緊急事態に応急処置でしのぐ「取りあえず」という意味合いにもとらえられるかもしれません。「繕う」には、「修理する」、「相手に良い印象を与える」、「叱られないように上手く処理する」などの意味が見られます。
「取り繕う」の詳しい意味
「取り繕う」には大きく分けて4つの意味があります。それぞれを項目ごとに分けて詳しく説明します。
1.ほんの少し修理する
「取り繕う」は、「ほんの少し修理をする」、「破れている所を急いで少しだけ直す」という意味です。完全に修理をする時には使えません。ほんの少し壊れているだけなのでその場で間に合わせの修理をする時にも使えます。また、来客があるなどの用事がある時に急いで簡単に直すことをいう場合もあります。
【使用例】
- 床の傷に補修剤を塗って取り繕う。
- 応接間の障子が少し破れていたので、お客が来る前に簡単に取り繕った。
2.上辺だけ整える
「取り繕う」は、「上辺だけ整える」、「人から見える所のみを飾って、見かけだけを綺麗にする」、「体裁(他人から見た自分の姿)を良くする」という意味でもあります。自分の本心を隠して「本音が悟られないように振る舞う」時にも使われることもあります。
【使用例】
- 汚い印象を与えるので、玄関だけは取り繕って綺麗にした。
- 人前を取り繕うため、片付いていない所に布をかけて見えないようにした。
- スーツにケチャップが付いたので、急いで拭いて取り繕った。
- 悲しみを隠して、明るく陽気に取り繕った。
3.叱られないようにごまかす
自分の失敗や過失があって確実に叱られることが分かっている場合、仕事では目上の方や同僚、取引先の方などに「叱られないようにごまかす」という意味でも使えます。言い訳をしたり、他の人のせいにしたりしてその場をやり過ごすので、ずるがしこくあまり良い性格の持ち主とは言えないでしょう。信頼をなくすこともあります。
【使用例】
- 部品を発注し忘れたと言えず、配送が遅れていると取り繕った。
- 上司にまだかと催促されるのが嫌なので、間に合わせの報告書の提出で取り繕うことにした。
4.身だしなみをよくする
「取り繕う」には「身だしなみをよくする」、「身なりを整える」などの意味もあります。面接の直前やお客と会う前などに、簡単に軽く髪や服などを整えて綺麗にすることを言います。
【使用例】
- 訪問客と会う前にトイレで簡単に髪をとかして取り繕う。
「取り繕う」の類語と意味
「その場しのぎ」後のことを考えずに一時的に切り抜ける態度のことを言います。
- その場しのぎに、言い訳をする。
- その場しのぎで、パソコンの修理をした。
「お茶を濁す」お茶の点て方を知らない素人が適当に混ぜてごまかしたことから、「ごまかす」「はぐらかす」という意味を表します。
- 知ったかぶりしてお茶を濁して乗り切った。
- 会社の内情を聞かれたので、お茶を濁すことにした。