「垂涎もの」とは?
「垂涎もの(すいぜんもの)」とは手に入れたいと渇望しているもののことです。「垂涎」はよだれです。美味しそうなもの、食べたいものを見るとよだれが出てきますよね。よだれがでてくるほど欲しいという意味で使われます。
「垂涎もの」は「ちょっと気になった」とか「なんとなく欲しいなあ」くらいの欲しがりようではなく、見れば見るほど欲しくなる、寝ても覚めても気になるくらいに熱が入った欲しがりようです。執着や執心という言葉がふさわしいですね。
誰もがよだれを垂らすほど欲しがるもの、という意味で使われることもあります。しかし、大抵は自分が欲しいもの、ファンやマニアなら欲しがるものという意味で使われます。
「垂涎もの」の使い方・例文
「垂涎もの」の使い方
「垂涎もの」は「垂涎の的」と書かれることもありますが、どちらも基本的な意味は変わりません。「垂涎の的」の方が多くの人が欲しがっている印象が強くなります。語順が逆の「涎垂」もネット上で見られますが、「垂涎」と同じ意味で用いられているようです。
「垂涎もの」の例文
- 研究者にとって垂涎ものの設備がそろっている。
- マニアなら大金を支払う垂涎ものの一品だというが、私には何が良いのかさっぱりわからない。
- 有名な収集家だけあって、今回のオークションには垂涎の的となるようなものがゴロゴロしている。
「垂涎もの」の類義語
喉から手が出る
「喉から手が出る」とは欲しくてたまらない、どうしても欲しいという意味のことわざです。二つの手では足りずに、喉からも手を伸ばすほどに欲しい様子を表します。
英語では「makes one`s mouth water」で、喉が渇いて水を欲しがる様子にたとえています。渇望している気持ちが伝わる表現ですね。
唾をつける
「唾をつける(つばをつける)」とは誰かに取られないように前もって準備しておく、対処しておくという意味です。
オークションやバーゲンセールなどの目玉商品をイメージするとわかりやすいかもしれません。みんなが欲しがるものはすぐに売り切れてしまいます。けれど他人の唾がついたものは抵抗がありますよね。だからあらかじめ唾をつけておくと予約したように買えるというわけです。
間違えやすい表現に「唾をのむ」もありますが、これは「固唾をのむ」と同じく緊張して成り行きを見守るという意味です。
舌なめずり
「舌なめずり」は下を口から出して唇をなめまわすことです。美味しそうな料理を前にしたときの様子として使われることが多い表現です。
肉食動物にとっての食べ物は他の動物、つまり獲物です。なので、獲物や欲しいものを前にしたときの熱心に欲しがる様子としても使われる表現です。
「舌なめずり」は行儀作法としてはあまり歓迎されず、マナーが悪い、下品とみなす人も多くいます。そのためか、小説などでも下品な人を描くために使われる言葉となっています。
「舌なめずり」は英語で「lick one`s lips」です。「lick」は舐める、「lips」が唇なのでそのまんまですね。
憧れの的
「憧れの的」とはみんなの注目を浴びている、誰もが羨んでいる人を指します。「憧れ」とはみんなから羨ましがられ、自分も同じ立場だったらいいのにと思うことです。
英語では「loadstar」で「北極星」という意味です。旅をする人は誰でも見上げる星ですので、ピッタリですね。
「垂涎もの」の英語表現
「垂涎もの」は英語で「the object of envy」と表現します。「object(オブジェクト)」にはいろいろな意味がありますが、ここでは「目的の品」や「気持ちの向う対象」といった意味合いです。「envy(エンヴィ)」は「羨ましい」とか「嫉妬」という意味です。