羨ましいとは?
「羨ましい(うらやましい)」とは「自分もあの人みたいだったらいいのに」という気持ちです。羨望(せんぼう)ともいいます。
自分よりも優れている人やできる人、扱いや待遇の良い人などを見ていると「すごいなあ」と思う反面、「ああなりたい」という気持ちも芽生えますよね。この「自分がそうなりたい」という気持ちを「羨ましい」と呼びます。相手に意地悪したりおとしめたりしたいという気持ちがあると「嫉妬(しっと)」という別の感情になります。
心病ましい
「羨ましい」は、かつては「心病ましい」と書いたそうです。鬱というか、妄執というか、何かこう闇を感じさせる字ですね。
「羨ましい」気持ちには心の影が隠れているのでしょうか。本当に病んでいない人は、誰かの成功を喜んで祝福したり、奮起して努力したりするのでしょう。「羨ましい」と感じるのは満たされていないからかもしれません。
心と書いて「うら」と読むのはこの言葉に限った話ではありません。「心悲しい(うらかなしい)」や「心寂しい(うらさみしい)」などにも使います。心は目に見えない、表に出ないものなので、「うら」と読むようになったそう。「心疾しい(こころやましい)」という言葉もあり、こちらは後ろめたい、穏やかでないという意味です。
羨ましいの使い方
- 生まれたての赤ちゃんのぷにぷにのお肌が、とっても羨ましい。
- 営業成績抜群で羨ましい才能の持ち主。
- 金持ち、イケメン、高学歴の相手と結婚した後輩が羨ましい。
羨ましいの類語
憧れ
「羨ましい」とよく似た感情に「憧れ」があります。「憧れ」はどちらかといえば実現しなさそうという意味を含んでいます。
白馬に乗った王子様が迎えに来てくれるのを「憧れる」人はいるかもしれません。けれど、お姫様のことを「羨ましい」と思う人は少ないでしょう。一方、社内恋愛で結婚した友人を「羨ましい」と思っても、「憧れ」はしないはず。
メルヘンチックな童話は非現実的なフィクションだから「憧れる」余地があるのです。これが他人の成功話ばかりでは「羨ましい」を通り越して「ねたましい」となってしまいます。
ねたましい
「羨ましい」は悪い感情ではありません。あの人みたいになりたいから努力する、ということもありますから。けれど、もしそれが「ねたましい」となってしまったら最悪です。「ねたましい」は「羨ましくて、憎らしい」、「あの人みたいになりたい、たとえ蹴落としてでも」という悪い感情です。
「羨ましい」気持ちに「憎らしい」や「悔しい」という気持ちが混じると「ねたましい」に変わるといいます。例えば格下だと思い込んでいた相手に負けたら、「もっと下のはずでしょう。本来の居場所に戻りなさい」と思うかもしれません。あるいは、「どうせ不正な手段を使ったんでしょう」とゆがんだ正義感から落とすこともあるでしょう。
ないものねだり
「ないものねだり」とは自分にないものを欲しがること、叶わない願いを抱えることです。英語では「crying for the moon」です。直訳すると「月を欲しがる」という意味になります。英語圏では手に入らないものの代表は月なのですね。
隣の芝は青い
「隣の芝は青い」とは他人のものはなんでもよく見えるという意味のことわざです。同じ意味のことわざは多く、「隣の花は赤い」「隣の糂汰味噌(じんだみそ)」などがあります。
時々誤解されますが、「隣の餅も食ってみよ」は意味が違います。隣の家の餅はおいしそうに見えるけれど、食べてみないと本当のところはわからないという意味です。見えるものだけがすべてではない、経験してみなければわからないという教えです。
羨ましいの英訳
「羨ましい」は英語で「envy(エンヴィ)」です。漫画『鋼の錬金術師』で一躍有名になりましたね。こちらは「良かったね、羨ましい。」と相手のことを喜んであげた上で、自分もそうなりたいという意味です。
類義語に「jealousy(ジェラシー)」があります。日本語と同じように、「嫉妬」の気持ちが強い表現です。「なんであんたが、憎たらしい。」といった意味になります。