「依」とは
「依」は、音読で「イ」「エ」、訓読で「よ(る)」と読みます。人を表す「亻(にんべん)」と、着物が前で合わさっている形から生まれたつくり「衣」で構成されている漢字で、衣服が人にまとわりついている様子を表しています。
「依」の意味
「依」には、大まかに以下の3つの意味があります。
- よりすがる、頼る、もたれかかる
- 拠り所とする、従う
- そのまま、以前のまま、もとのまま
また上記の意味の他にも、衣服を身につける安心感から「安らか」という意味や、衣類をかけておく「つい立」を表したりもします。
「依」の意味:よりすがる
衣に身を隠すところから、「依」は「頼る」という意味で使われるようになりました。
- 依存・・・他のものに頼って成立・存在すること。
- 依託・・・仕事などを他社に頼んでしてもらうこと。もたせかけること。
- 依頼・・・他人に用件を頼むこと。人に頼ること。
- 依怙(えこ)・・・一方だけをひいきにすること。頼ること、頼りにするもの。
- 帰依(きえ)・・・すぐれたもの(神・仏・人格者など)を頼みとして、その力に依存すること。
「依」の意味:拠り所とする
昔、衣服には霊が乗り移ると考えられていたことから、「拠り所とする」という意味でも「依」が使われるようになりました。
- 依願・・・本人からの願いによること。
- 依拠(いきょ)・・・なるものに基づくこと。よりどころとすること。
- 憑依(ひょうい)・・・霊・悪魔・狐などが乗り移ること。憑くこと。
- 準依(じゅんい)・・・それを基準(よりどころ)として従うこと。
- 依代(よりしろ)・・・神霊が意志や言葉を伝えるために依りつくもの。
「依」の意味:そのまま
衣服を身にまとうことで怪我や病気から守られるので変化がないというところから、「依」は「そのまま」という意味でも使われます。
- 依然・・・前と変わらないさまのこと。元のままであるさま。
人名に使われる「依」の意味
「依」という漢字は男女ともに人名に使われることがありますが、特に女の子の名前に好まれる傾向があります。
- 「イ」と読む名前…愛依(あい)・芽依(めい)・瑠依(るい)・依斗(いと)など
- 「エ」と読む名前…依奈(えな)・依茉(えま)・結依(ゆえ)など
- 「よ(る)」と読む名前…依子(よりこ)・眞依 (まより)・依信 (よりのぶ)など
「依」が女の子の名前に好まれる理由
「依」という漢字からは、人が衣服に包まれている姿を想像することができます。そこから伝わってくるイメージには、衣服に包まれた安心感・安らぎ、包み込むような優しさ・思いやりなどがあるのではないでしょうか。
また、「依」の「そのまま」という意味からは自然体・ありのまま、「拠り所とする」という意味からは人から頼られたり、安心を求めて集まったりといったことが連想されます。
こういった一連のイメージから、「依」という漢字の入った名前には「人を包み込むような思いやりのある優しい人になってほしい」「周りの人を安心させて頼られるような人になってほしい」という、願いや思いが込められているのかもしれませんね。
「依」が名前に含まれる有名人
「依」の文字が使われている名前の有名人をご紹介します。
三原 舞依(みはら まい)
三原舞依は1999円8月22日生まれの、日本の女子フィギュアスケーター。浅田真央選手に憧れて小学生の時にスケートをはじめました。
難病指定にされている「若年性突発性関節炎」を乗り越え、日本でも世界でも期待され注目を集めている、世界クラスのフィギュアスケーターです。
仲 里依紗(なか りいさ)
仲里依紗は1989年10月18日生まれの女優、モデルで、夫は俳優の中尾明慶。2013年に第一子となる男児を出産後も、ドラマやCMなどで幅広く活躍中です。
「依」のまとめ
以前は、女の子の名前のとめ字には「子」がよく使われていました。しかし、最近では「依」をとめ字にする名前も流行っています。
もし、これから女の子の名前を考える機会があれば、すてきな意味のある女の子らしい漢字の「依」も候補に入れてみてくださいね。