「健啖家」とは
「健啖家」の字義
「健啖家」という言葉のうち、「健」には「よく」や「すこやか」のいう意味のほか、「貪(むさぼ)る」という意味があります。「啖」は、「食う」と言う意味。「家」は「専門家」や「能弁家」などと同じく、「〜をよくする人」と言う意味になります。
「健啖家」の意味
このため、「健啖家」という言葉の意味は、「すこやかによく食べる人」や「むさぼり食らう人」という意味になります。
「健啖家」の使い方
主に「彼/彼女はとにかくよく食べる。健啖家だ」とか「ラーメンだったら何杯でもいけるだなんて、ずいぶんな健啖家だね」といったような使い方をします。このとき、否定的な意味はあまりなく、「感心」や「憧れ」、あるいは「尊敬」のニュアンスも含まれているかもしれません。
「健啖家」の類語
「健啖家」と同じような意味内容を持つ言葉としては、まず「大食らい」や「大食漢」、「食欲旺盛」といった言葉が挙げられます。また、最近では「大食い」を強調する形で「爆食い」という表現もあるようです。
ニュアンスの違い
「健啖」と「大食」では、言葉のニュアンスが多少ことなります。「健啖」は既に見てきたように、主に肯定的な意味で使われます。これに対し「大食」には、「大食短命(たいしょくたんめい)」や「無芸大食(むげいたいしょく)」という言葉が示すように、否定的な意味が含まれています。
「フードファイター」とは
少し特殊な事例ですが、「フードファイター」という言葉もあります。これは、世界各地で行われている早食いや大食いの大会に出場して、賞金を獲得することを目的としたプロ/アマの選手を指す言葉です。
「健啖家」の例
健啖家の有名人
よく知られた「健啖家」の例としては、テレビの大食い番組などでよく知られた「ギャル曽根」や「小林尊」などがいます。特に小林は、世界的に有名なフードファイターとして知られ、ホットドッグやハンバーガーなどの大食いで、計6種目のギネス記録を持っています。
また、同じく大食い関連のギネス記録獲得経験者には、レモン部門とにんにく部門で「川島省吾(劇団ひとり)」が、ミルクセーキ部門では「香取慎吾」と「鈴木祟大(タカ)」がいるなど、少々意外に思われる人たちもいます。
「痩せの大食い」について
「綾瀬はるか」や「菜々緒」のように、一見そうは見えないスレンダーな女優の中にも「健啖家」はいるそうです。このように「痩せて見えるのによく食べる」のことを「痩せの大食い」と表現することもあります。
「食べても太らない」人がいる理由としては、「胃の形状」や「代謝が活発であること」、それに「栄養吸収効率の問題」などが指摘されています。加えて、どれだけ食べても満腹感が得られず、際限なく食事ができてしまう人の場合は、脳の「満腹中枢」に異常があると考えられる場合もあるようです。
作品に登場する「健啖家」
少年マンガの「健啖家」
日本のマンガには、多数の「健啖家」が登場します。古くは「Q太郎(オバケのQ太郎)」、よく知られたところでは「孫悟空(DRAGON BALL)」や「モンキー・D・ルフィ(ONE PIECE)」、「範馬刃牙(グラップラー刃牙ほか)」といった少年マンガの主人公たちが代表的です。
女性キャラの「健啖家」
いわゆる「大食いキャラ」は女性にも多くいます。代表的なところだと「リナ・インバース(スレイヤーズ)」、「神楽(銀魂)」、「赤城(艦隊これくしょん)」などでしょうか。この場合、「健啖家」であることがギャップとなって、登場人物のキャラクターづけに一役買っているようです。
食いしん坊と「健啖家」
一方、例えば「サシャ・ブラウン(進撃の巨人)」などは、「食いしん坊」ではありますが、悟空やルフィのような「健啖家」ではないかもしれません。「健啖家」は、大量に飲み食いした結果としてそうなる(言われる)ものであって、食欲旺盛なだけでは不十分なようです。
まとめ
いずれにせよ、食事は人間にとって本質的なもののひとつです。「大量に食べる」人は、それだけで「生命力に満ち溢れている」という印象を他人に与えるでしょう。このため「健啖家」は一種の「豪傑」として、好ましく思われたり、賞賛されたりしているのではないでしょうか。