「玉石混交」とは?意味や使い方ををご紹介

「玉石混交」という言葉をご存知ですか?学校で習ったことがある、知っているという方が多いと思います。しかし、知っていても使うには至らない方が多いのではないでしょうか。ここでは、「玉石混交」をきちんと正しく使うために、意味や使い方を詳しくご紹介しています。

目次

  1. 「玉石混交」の読み方
  2. 「玉石混交」の意味
  3. 「玉石混交」の由来
  4. 「玉石混交」の使い方
  5. 「玉石」を用いた表現
  6. 「混交(淆)」を用いた表現
  7. 「玉石混交」のまとめ

「玉石混交」の読み方

「ぎょくせきこんこう」と読みます。「玉石混交」は、本来は「玉石混淆」と書くのが正しい書き方です。しかし、「淆」という漢字が常用漢字ではないので、同じような意味・音を持つ「交」が使われるようになりました。「交」ではなく、「合」として、「玉石混合」とすると間違いになりますので、ご注意ください。

「玉石混交」の意味

「玉石混交」の意味は、価値のあるものとないもの、優れているものとそうではないものが、入り混じっていることです。物だけでなく、人に対して使われることもあります。

「玉石混交」の「玉」の文字は、宝石や真珠、美しいもの、立派なものを表す言葉です。それに対して「石」は、ありふれたもの、取るに足らないもの、価値のないものを指しています。「混」と「交」には、どちらも「まざる」や「まじる」といった意味があります。
 
つまり「玉石混交」は、貴重なものとそうでないものが、同じ場所で区別されることなくごちゃごちゃの状態でまじりあっていることを表現しています。

「玉石混交」の由来

「玉石混交」の由来は、中国の道教研究科の葛洪(かつこう)が著した『抱朴子』(ほうぼくし)の次の一文です。

“眞僞顚倒、玉石混淆。”
“真偽(しんぎ)顛倒(てんとう)し、玉石混淆す。”

「真偽」とは、真実と偽り、本物と偽物を言います。「顛倒」は「転倒」と同意で、ひっくり返ることの意味です。よって、この一文は、本物と偽物がひっくり返り、よいものと悪い物が混ざってごちゃごちゃになった状態であると言っています。

著者である葛洪という人物は、仙人や不老不死について研究をした人でした。そんな葛洪が、昔の人と比べて今の人達は優れたものを判断する能力がなく、昔の優れた書物や思想を軽視し、嘘ばかりの言葉をありがたがっている、と嘆いている言葉の中の一文です。平たく言うと、「最近の若い連中はわかってない!」と怒っているのでしょうね。

「玉石混交」の使い方

「玉石混交」はどの様に使えばいいのでしょうか。例文を見てみましょう。

「玉石混交」の例文

1.福袋の中身は「玉石混交」、本当にお得な買い物なのか疑問だ。
2.「玉石混交」の若者の中から、将来有望な新入社員を選ぶのは至難の業だ。
3.骨董屋に陳列してある商品は「玉石混交」だから、購入するには目利きが必要だ。

「玉石混交」の引用

1.“――常識は「玉石混淆」の知識であるが、常識をそのまま信用することは決して優れた常識ではない。”(現代哲学講話:戸坂潤)
2.“景樹の歌がひどく「玉石混淆」である処は俳人でいふと蓼太に比するが適当と被思はれ候。”(再び歌よみに与ふる書:正岡子規)
3.“むろん、これらの中には純粋な芸術上の立場から見ると、多少の「玉石混淆」は免れぬ。”(まざあ・ぐうす:北原白秋訳)

例文の「玉石混交」からは、「玉」も「石」も対等で、置かれている立場や扱われ方に優劣の差がない様子が伝わってきます。別の言い方をすると、クオリティに差があるものが同じ場所に平等に存在しているさまが伺えます。

「玉石」を用いた表現

「玉」と「石」という対照的な言葉を使用した表現に、他にどのようなものがあるのか見てみましょう。

1.玉石同架(ぎょくせきどうか)
「玉石混交」と同意。優れているものとそうでないものが混ざっている状態のこと。「架」は棚のこと。
2.玉石同砕(ぎょくせきどうさい)
善人も悪人も、賢い人も愚か者も、すべて区別なく滅びてしまうこと。
3.玉石同匱(ぎょくせきどうき)
「玉石混交」の類義語。価値のあるものとないものを同じに扱うこと。「匱」は大きな箱のこと。

「混交(淆)」を用いた表現

「混交(淆)」という言葉が使われた四字熟語は、「玉石混交」の他にも複数存在します。いくつか見てみましょう。

1.雅俗混交(がぞくこんこう)
上品と下品が入り混ざっていること。
2.黒白混交(こくびゃくこんこう)
物事の善悪の区別をごちゃごちゃにすること。
3.神仏混交(しんぶつこんこう)
神道と仏教をあわせて区別することなく信仰すること。
 

「玉石混交」のまとめ

いかがでしょうか。「玉石混交」の意味や使い方をご理解いただけましたか?昔の中国の人は、価値のあるものを「玉」、価値のないものを「石」に例えて、たくさんの言葉を作り出しました。

しかし、そんな「玉」もはじめはただの「石」のようにくすんでいます。磨かれて初めて美しく輝くのです。例え、はじめは「石」のように目立たなくても、いつか「玉」のように輝くために、自分を磨く努力を忘れないでいたいものです。

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