「サイレントマジョリティ」の意味
「サイレントマジョリティ」という言葉を直訳すると、「静かなる多数派」という意味になります。「静かなる多数派」とは、政治的に強く意見を表明する機会のない有権者たちを意味します。この有権者たちの中には主張を言う機会の多いマスコミは含まれておらず、主に一般市民のことを指します。
この言葉の示すところは、「大衆はあまり個人的な意見を述べることはないが、一人一人強い主張を持っているのだから、その人物たちの意見にこそ、リーダーは注意深く耳を傾けるべきである」というものです。政治的に用いられることが多いですが、一般社会にも言えます。
一つ留意が必要なのが、後に記す通り、この場合の一般市民は支持者に限られます。黙って支持してくれるからこそサイレントマジョリティなのです。仮に反支持者であれば黙っていないはずであり、その場合は「ノイジーマイノリティ」という言葉を主に用います。
「サイレントマジョリティ」の出典
この「サイレントマジョリティ」という言葉は、1969年にアメリカ大統領ニクソンがベトナム戦争への支持をもとめて初めて用いました。この場合に言う「サイレントマジョリティ」は「声なき多数者(大衆)」を指し、抗議行動などをしない保守的な一般大衆を表します。つまりニクソンの支持者たちということです。
"声なき声"
実は「サイレントマジョリティ」に似た言葉を、日本の総理大臣も用いたことがあります。それは、岸信介総理が1960年の安保闘争の際の発言です。下記に記した通りのものですが、この場合の"声なき声"とは。安保闘争に参加していない人々を指していました。ニクソン大統領の述べた「サイレントマジョリティ」とは少し異なりますが、近い意味で使われています。
岸信介総理大臣・安保闘争にて
「サイレントマジョリティ」の対義語とその意味
「サイレントマジョリティ」を、政治的意見をあまり述べる機会のない多数派と捉えると、その対義語は「ボーカルマイノリティ」になります。この言葉は政治的意見を積極的に表明する少数派という意味です。
一方、先にも記した通り攻撃的な態度で政治的意見を積極的に述べる少数派は、「ノイジーマイノリティ」と言います。「声高な少数派」や「声だけ大きい少数派」と訳し、実質的にはクレーマーに近い意味を持つのです。
実際のところ世間に大きく出るのは「サイレントマジョリティ」よりも「ボーカルマイノリティ」や「ノイジーマイノリティ」ですので、ネット社会となった今はさらに、そのような人物の発言が目立つ傾向にあります。
欅坂46の曲としての「サイレントマジョリティー」
「サイレントマジョリティ」という言葉を知る機会になった人が多いであろう欅坂46の「サイレントマジョリティー」ですが、この曲の歌詞の中にも前記のニクソン大統領の演説を彷彿させる文章が用いられています。
秋元康作詞、バグベア作曲「サイレントマジョリティー」