「叢雲」とは?意味や使い方をご紹介

叢雲「むらくも」あまり見かけない漢字ですが、意外と身近なものを意味しています。叢雲とは、群がって動く雲のことです。空を幾重にも群がって悠々と動いている雲の様子を表現しています。本記事では、身近だけれど使い慣れない「叢雲」の意味と使い方をご紹介します。、

目次

  1. 叢雲とは
  2. 叢雲の使い方
  3. 叢雲を使ったことわざ
  4. 雲の表現
  5. 天叢雲剣
  6. 駆逐艦の名称

叢雲とは

叢雲とは、

  • にわかに群がり集まる雲
  • 幾重にも群がって動く雲
という意味です。「叢」が常用漢字ではないため群雲、村雲とも表記されます。特に秋の空に多く見られる現象で、晴れていたと思っていたら急に集まりはじめる雲を表しています。

叢雲が表す雲とは、具体的には高層雲(こうそううん)や層積雲(そうせきうん)のことで、「ひつじ雲」「いわし雲」などとも呼ばれる皆さんにも馴染みのある雲です。叢雲は「そううん」と音読みで読むこともありますが、一般的にはむらくもと読みます。

叢雲の使い方

普段あまり使う機会のない「叢雲」はどういう場面で使うものでしょうか。

  • 名月が叢雲で覆われて夜の闇が深まる。
  • 高い空を叢雲がゆっくりと動いていた。
名月を隠す叢雲は、昔から邪魔者として扱われていました。一方青い空に浮かぶ白い叢雲には、文学的な趣もあります。どちらも日常会話であまり使うことのない表現ですが、風流な物を愛でる日本人ならではの美しい日本語です。

叢雲を使ったことわざ

「月に叢雲 花に風」:好事にはとかく邪魔が入りやすいというたとえです。綺麗に出ている月を眺めていたら急に群がった雲が隠してしまう、満開の花を突然の風が散らしてしまうなど、不吉なことの始まりにも感じる自然現象から転じて出来たことわざで、良い事は長続きしない、思うようにはいかないと訓示しています。

相性の良くないことにたとえるといった誤用が多いので注意して下さい。類義語で、「好事魔多し」「花に嵐」などがあります。

歌詞にもなっている

アーティスト、幽閉サテライトの楽曲『月に叢雲華に風』があります。歌詞では「月には叢雲」とされています。タイトル部分も「花」を「華」に変えてオリジナリティーを出していますね。日本語だけで構成された歌詞は、幻想的な世界観を作り出しています。

雲の表現

雲を表現する言葉はたくさんあり、昔から生活に密着しています。天気を気にかけているのは、今も昔も変わらないようですね。雲は高さから分類されそれぞれに呼び名があります。

  • 上層…巻雲、巻積雲、巻層雲、すじ雲、うろこ雲、いわし雲、うす雲
  • 中層…高層雲、高積雲、乱層雲、叢雲、ひつじ雲、おぼろ雲、あま雲
  • 下層…層積雲、層雲、積雲、積乱雲、くもり雲、きり雲、つみ雲、わた雲、雷雲
季語として、「春雲」「入道雲」「うろこ雲」などもありますね。「うん」と読む場合は、「青雲」「暗雲」「風雲」などがよく使われています。また雲には、物事が漠然として捉えどころのないさま、非常に背の高いさまを表す意味もあります。
  • 雲を掴む
  • 雲を衝く

天叢雲剣

「天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)」をご存知ですか。「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」と言えば、ピンとくるのではないでしょうか。

「八咫鏡(やたのかがみ)」「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」と合わせて、「三種の神器」と言われており、ヤマタノオロチを退治した際に、尾から見つかったとされる神剣です。ヤマタノオロチの頭上には、常に雲が掛かっていたことから、この名が付いたとされています。

駆逐艦の名称

叢雲は大日本帝国海軍の駆逐艦の名称としても使用されていました。「艦名命名則」によって、旧日本海軍では艦船の名前に山や川の名前、天象地象の名前を使うようになったそうです。「吹雪」「初雪」「白雪」など同じような天象地象を付けることで、同型艦であることが分かるようにしていました。

「艦これ」にも登場

艦これこと「艦隊これくしょん」は、艦船を擬人化して育成していくシミュレーションゲームです。とても人気が高いこのゲーム内において、初期に選べる艦娘の5人のうちの1人として登場しています。「艦これ」プレイヤーなら誰でも知っている有名なキャラクターです。

叢雲は「日本書紀」に記述されてから「艦これ」「幽閉サテライト」までと、日本人の心から離れない存在のようです。美しい日本語だから、新しい時代にも連綿と受け継がれていくのかも知れません。


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