「箸にも棒にもかからぬ」の意味
「箸にも棒にもかからぬ」は、全く取り柄がない事や、どうにも使い道のない物や人の比喩表現です。どうにも手のつけようがないことの例えにも使われます。
箸は小さいもの、細いもの、短いものの例え、棒は大きいもの、太いもの、長いものの例えとして用いられています。そのどちらを用いても、ひっからなかったり、持てなかったりするということから、どうにも取り扱うことができないことの例えとして使われています。
「箸にも棒にもかからぬ」の使い方
「箸にも棒にもかからぬ」は、実際どのように使われているのか例文を見てみましょう。
- あいつは、学生時代は遊んでばかりで箸にも棒にもかからないやつだと思っていたが、社会に出てから地道に努力し、今や自分の会社を持つまでになった。
- 納期ぎりぎりに納品された商品は、箸にも棒にもかからぬ代物で、すべて返品せざるを得なかった。
- 今年の新入社員には期待していたのだが、研修が終わった今でも、箸にも棒にもかからず、困惑している。
「箸にも棒にもかからぬ」は、物の説明にも人の説明にも用いられていますが、どれも扱いにくい様子が否定的な意味で使われていますね。「かからぬ」という表現は、現代では「かからず」や「かからない」という表現が用いられているケースも見られます。
「箸にも棒にもかからぬ」の類語
「箸にも棒にもかからぬ」の類語をいくつかご紹介します。
その一つが「縄にも杓子(しゃくし)にもかからぬ」です。これは、縄で縛ろうと思っても縛れず、杓子ですくおうと思ってもすくえないことから、どうにも取り扱う方法がないこと、手がつけられず処置に困ることを意味します。「箸にも棒にもかからぬ」の類語には他にも、このことわざのように「〇〇しても、〇〇できない」という同じような形式の表現が多く見られます。
- 箸にも杭にもかからぬ
- 縄にも葛にもかからぬ
- 縄でも桂でもくくれぬ
- 酢でも蒟蒻でも食えぬ
- 酢味噌でも食えぬ
- 蓼酢でもいけぬ
「箸にも棒にもかからぬ」の英語表現
英語では以下のように表現されます。
- Past cure past care.(治療の方法がない病気は、あきらめるしかない)
- Past shame past amendment.(恥というものを知らなければ、話にならない)
また、人の様子を表す慣用表現としては、be good-for-nothing(ろくでなし)やbe past praying for(救いようがない)などもあります。例文を以下にご紹介します。
- He is a complete good-for-nothing.(彼は全くのろくでなしだ)
- Why don't you stop going out with that good-for-nothing?(あんな役立たずの男と付き合うのはやめたら?)
- He is past praying for.(彼はもうどうにもならない)
「箸」が登場する表現
ことわざ辞典には、「箸にも棒にもかからぬ」以外にも「箸」が含まれることわざが多く収載されていますので、以下にそのうちのいくつかをご紹介します。
- 箸に当たり棒に当たる(自分の怒りをあれにもこれにも当たり散らすこと。八つ当たりすること)
- 箸に目鼻をつけても男は男(箸に目鼻がついただけのようなやせ細った男でも、男は男として尊敬しなければならない)
- 箸と主は太いがよい(箸は太くて折れないものがよいし、主人を持つのならしっかりした頼りになる人がよい)
この他、現代でも比較的よく使われている比喩表現として、以下のものがあります。
- 箸より重い物を持たない(箸よりも重い物をもったことがない。裕福な家庭で何不自由なく過保護に育てられた例え)
- 箸の転んだもおかしい年頃(箸が転がるような、日常的などうということのない出来事にも笑いだしてしまうような年頃。十代半ばくらいの女性の年齢の例え)