「すずらん」とは?
多年草であるすずらんですが、つい最近まではユリ科に属していました。しかし、ユリ科ではないことが分かりスズラン科を作ったのですが、実際は分類もあいまいでよく分かっていません。漢字だと「鈴蘭」と書き、鈴の様な形と繋がっている姿が印象的ですが、「蘭」とは全く関係ないのです。他の植物にも「蘭」と呼ぶけれどラン科ではない植物も多いです。一説によると、「蘭」と名前がつくと高値で取引されるから、という話もあります。
カタカナで「スズラン」の表記もなじみが深いですが、他に「君影草(きみかげそう)」や「谷間の姫百合(たにまのひめゆり)」と別の名前も持っています。
「すずらん」の種類
すずらんの種類には「ニホンスズラン」と「ドイツスズラン(西洋スズランとも言われます)」があります。「ニホンスズラン」は東北や北海道に多く、北海道のシンボルとして広まっています。北海道の【沙流郡平取町芽生(さるぐんびらとりちょうめむ)」には、日本最大級の野生のすずらんの群生地があります。
よく知られているすずらんは、「ドイツスズラン」が主流となります。ヨーロッパが原産で、花が大きく匂いも強いので、香水にも使用されます。
見分けるには、花の中心を見るとすぐわかります。「ドイツスズラン」は花の中心に色のついた部分があり、「ニホンスズラン」には色がないのです。「ドイツスズラン」には様々な色があり、ピンクや赤、縦に縞の入った模様など、品種改良された物があります。
5月1日は「すずらんの日」
フランスの国王ルイ=シャルル9世に、すずらんの花束が贈られました。すずらんには「幸運をもたらす」と聞き、これをきっかけに1561年5月1日から毎年、宮殿のご婦人へすずらんの花束を贈ることにしたのです。一般市民にもこの風習が根付いてきたのは1976年5月1日からだと言われています。
フランスで始まった行事ですが、愛する方やいつもお世話になっている方へすずらんを贈る日となりました。すずらんの花束を貰った方には、幸運が訪れると伝えられています。また、フランスではすずらんのことを「ミュゲ」と言い、「ミュゲの日」とも言われています。
「すずらん」の花言葉
国によってすずらんの花言葉は少し違っていますが、基本的な意味は同じです。
- 再び幸せが訪れる
- 純粋・純潔
- 謙遜
これらの花言葉から、花嫁の花束にはすずらんを使用することが多いのです。
「すずらん」に少し怖い印象がある理由
小さく、はかないイメージのすずらんですが、何故か花言葉には怖いと言われている点があります。1つは、すずらんには毒があるので、密かに恐れられていること。
もう1つは、すずらんに似た花である「スノードロップ」(下記写真)が死を連想させる花であるからではないでしょうか。スノードロップの花の色や形は「死に装束」を思い起こさせるところがあり、イギリスの古い伝承には、「恋人の傷ついた体にスノードロップを置いたら、スノードロップ(雪の雫)になり、(恋人が)消えてしまった」という言い伝えが残っています。
スノードロップの花言葉
実際のところ、「スノードロップ」の花言葉は①「慰め(なぐさめ)」、そして②「希望」です。お祝いのときにプレゼントしても選ばれる花ですが、上記の話から、花言葉が「死を望む」だと思ってしまっている人も一部いるため、誤解されないようにプレゼントの際は「希望」など花言葉を添えて送ると良いでしょう。
「すずらん」には毒がある
綺麗な花には毒がある、と言いますが、すずらんにも毒が含まれています。特に、花と根に多く含まれています。すずらんの入っていたコップの水を飲んで亡くなった方もいるように、水溶性の性質もある為、水につけておくと毒が流れていきます。また、すずらんの葉は行者ニンニクと似ていて、誤って食べてしまい、中毒に至るケースが報告されています。
すずらんを触る時には手袋をし、触った場合には手をきちんと洗いましょう。水には注意し、子供やペットが口に含まないように気をつけて下さい。
すずらんの根には毒があるので、もぐらの被害で悩んでいる方は、すずらんを植えることで被害を抑えることができます。
「すずらん」の育て方
すずらんは花が小さいながらも強い匂いを放ち、優しい香りを庭でも楽しみたい、と思う方は少なくありません。しかし、育てるとなるとお世話ができるか心配になります。
一般的に売られている種類は「ドイツスズラン」が多く、「ニホンスズラン」は寒い場所を好むので、育てるのにも注意が必要です。庭植でも鉢植えでも育てる事は出来ます。庭植の場合は、直射日光の当たらない半日陰や、明るい日陰が良いです。鉢植えの場合には室内で管理をせず、夏は風通しの良い日陰で、冬は柔らかい日の当たる場所での管理が好ましいです。根が張りやすいので、少し大きめの鉢が合っています。
高温多湿が苦手なので、風通しの良い場所ならば育てやすいです。冬の寒さにも耐えられますし、害虫も少ないので比較的育てやすい植物です。