「暁」とは?意味や使い方をご紹介

「暁(あかつき)」には、「夜明け」と「ある事柄を実現したとき」という2つの意味があります。では、なぜ夜明けを意味する「暁」が実現を表すのかご存じですか?本記事では「暁」の2通りの意味と使い方、語源や類語・関連語など詳しく解説します。

目次

  1. 「暁」の意味
  2. 「暁」の使い方
  3. なぜ実現が「暁」なのか
  4. 「暁」の類語
  5. 「暁」を使った言葉

「暁」の意味

「真夜中」や「深夜」など夜を表す言葉は数ありますが、「暁(あかつき)」もそんな夜の表現のひとつです。平安時代の日本では、夜を宵(よい)・夜中・暁に区分していました。

「宵」は日が暮れてまだ間もない時間。「夜中」は夜の半ばで、「宵」と「暁」の間の頃。そして「暁」はまだ暗いうちの、夜が明けようとする頃のことでした。

ただし現在の「暁」は元々の時間から少しずれて、「空がぼんやり明るくなる頃」を意味する言葉となっています。また、「ある事柄を実現したそのとき」という意味も持っています。

「暁」の使い方

「暁」を使った例文ですが、時間を表す語句としてなら「暁の空の美しさに感嘆する」「暁の町はしんと静まり返っている」といったものが挙げられます。

また「実現したときには」という意味なら、「プロジェクト成功の暁には、晴れて係長に昇進できる」「ダイエット成功の暁には、憧れのブランドのワンピースを購入しようと決めている」といった使い方ができます。

「○○が実現(成功)した暁には」などと言う場合、○○に入るのは実現や成功が難しい事柄です。「宿題を終わらせた暁には」といった、一見簡単に達成できそうな事柄に対しても使用できますが、その場合は逆説的に「宿題を終わらせることは、当人にとって達成が非常に困難である」という意味になります。

なぜ実現が「暁」なのか

では、なぜ「ある事柄を実現したとき」を表現するのに、夜の表現である「暁」を使用するのでしょう。

「暁」には前述の通り、「夜明け」の意味があります。ある事柄を実現するまでの過程を“夜”として、実現後を“朝”としたとき、実現の瞬間はまさに“夜明け”なのです。だから「この夜(実現までの過程)が終わる、その暁のときには」という意味で「暁」を使用するのです。

「暁」の類語

「宵」「夜中」「暁」以外にも、夜を表す日本語は驚くほどたくさんあります。せっかくなので、そのなかから以下にいくつか紹介したいと思います。
 

  • 小夜(さよ)…夜
  • 暮夜(ぼや)…夜
  • 夜半(よわ)…夜中
  • 東雲(しののめ)…明け方
  • 曙(あけぼの)…夜明けの空が明るんできたとき
  • 有明(ありあけ)…月がまだ有りながら夜が明けてくる頃
  • 朝ぼらけ…朝がほんのりと明けてくる頃

上記に「春宵(しゅんよう)」や「十六夜(いざよい)」といった季節限定の語句や、「晴夜(せいや)」や「雨夜(あまよ)」などの天候に絡んだ語句、「朧月夜(おぼろづきよ)」「卯の花月夜(うのはなづくよ)」といった情景と併せた語句などが加わるわけですから、夜の表現語が膨大にもなるわけです。

なかには古典文学でしか見かけないような表現もありますが、「東雲」は「明け方に東の空にたなびく雲」を指す言葉でもあるので、耳にする機会もあるのではないでしょうか。また音楽ジャンルのひとつである「セレナーデ」は、和訳して「小夜曲」と言ったりしますね。

「暁」を使った言葉

最後に「暁」に関連した成句やことわざを以下にいくつか紹介します。
 

  • 暁闇(あかつきやみ)…月のない明け方。
  • 暁起き…明け方に早く起き出ること。早起き。
  • 暁星(ぎょうせい)…夜明けの空に残る星。特に金星。
  • 暁月夜(あかつきづくよ)…暁に月の見える空の状態。またその月。
  • 暁の別れ…夜をともにした男女が、まだ暗いうちに起きて別れること。
  • 春眠(しゅんみん)暁を覚えず…心地よい春の夜の眠りに、つい寝過ごすこと。

また『小倉百人一首』には「有明のつれなく見えし別れより、暁ばかり憂きものはなし(有明の月の素っ気なさと女の態度を重ねあわせ、朝帰りの憂鬱さを詠んだもの)」という壬生忠岑(みぶのただみね)の和歌が収められています。

「暁の別れ」もそうですが、かつて日本人は「暁」にさまざまな男女ドラマを見出していたのでしょう。『小倉百人一首』には「暁」以外にも、前項で挙げた夜の語句を使った素晴らしい和歌が数多く収められています。興味があればぜひ調べてみてくださいね。


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