「舐めプ」とは
「舐めプ」とは、舐めたプレイの略称で、格下相手に余裕ぶって、わかりやすい手加減をすることをいいます。対戦ゲームで用いられる言葉でしたが、スポーツの試合にも使われることも増えてきました。「舐めプ」をする人は、「こんなことをしても勝てますよ」という強さのアピールをしているのですが、やられた方は「侮辱された」と感じることがほとんどのようです。
「舐めプ」の使い方
「舐めプされて腹が立った」「舐めプはするな」「あいつ舐めプだろ」といった使い方がされます。ゲームやスポーツにおいて使われることが多く、それ以外ではあまり聞かれません。ほかにも、「ウサイン・ボルトがゴールで失速したのは舐めプだな」「ネイマールは舐めプがうまい」のような使用例もあります。
「舐めプ」の事例
「舐めプ」にはどんなものがあるのか、実際に起こった出来事をご紹介します。
スポーツの試合で
陸上界最速の男、ウサイン・ボルト選手は、予選では圧倒的な力を封印し、ゴール手前でわざと失速するような様子をみせました。これをみた視聴者は、「舐めプだな」「本気でやれよ」といった意見と、「どうせ決勝に行くのだから、体力を温存するのは当然」といった意見に分かれました。
ゲームの対戦で
近年よく耳にするeスポーツはコンピューターゲーム競技のことで、大観衆を集めた大会が開かれるなど、世界規模で人気が上昇しています。ロサンゼルスで開催された、国際eスポーツ大会「ZOTAC CUP」の決勝戦にて、韓国の選手が「足でキーボードを操作」して優勝しました。これに対して、「対戦相手に失礼だ」という批判の声が上がりました。
選手は運営関係者に許可を取ったと主張していますが、大会を主催したZOTACの中国支社は、許可した覚えはないと反論、真っ向から対立しました。中国国民は選手を批判し、韓国国民は選手を擁護する傾向がみられました。
スポーツ界における暗黙のルール
スポーツはルールに則って競技が行われますが、いくつか暗黙のルールが存在するものもあります。たとえば、メジャーリーグ野球では、「アンリトンルール」というものがあります。これは、「大差で勝っているチームは、盗塁をしてはならない」「死球をぶつけても謝ってはならない」といったものです。これを守らなかった新庄剛志選手(ニューヨーク・メッツ在籍時)は、翌日の試合で死球の報復を受けました。
また、卓球においても、「完勝してはならない」という暗黙のルールがあります。10対0のスコアになったときは、勝っている選手がわざとミスして、相手に1点を取らせなければなりません。過去に、福原愛選手がこれを破ってしまい、対戦相手の中国から大きな批判を受けました。
これらは、暗黙とはいえルールなので、卓球のようにわざと相手にポイントを与えることは、「舐めプ」とはいわないことが多いです。あくまでも、ルールにないのに手加減や侮辱することを、「舐めプ」といいます。
「舐めプ」の危険性
「舐めプ」は、相手を侮辱する行為であり、やられた方はいい気はしません。それまで楽しくゲームをしていたのに、「舐めプ」をすることによって、言い合いになったり、ときには殴り合いの喧嘩になったりすることもあります。手加減するのはゲームを楽しくする1つの方法ですが、その際には相手にわからないように、さりげなく手加減することも大切でしょう。
日本人の美徳
日本人には、「どんなときも、何事にも全力で尽くす」ことを美徳とする国民性があります。道徳の授業や運動会、部活動などでは、たとえ自分が勝負に勝っていても、手を抜くことは相手に失礼だと教えられてきました。たとえば、松坂大輔投手も、メジャーリーグで死球を当ててしまったとき、相手に脱帽してお辞儀をしました。それが向こうの人たちには批判され、それからは死球を当てても謝ることはなくなりました。
これは日本人の国民性が、よく現れた例ではないでしょうか。わざとではなくとも、悪いことをしたら謝るのは、普通の感覚です。こういった真面目さから、日本人には「舐めプ」をする人は少ないようです。海外では「パフォーマンス」として受け入れられることでも、日本では批判の声が上がりやすいのは、そのためでしょう。