「よりを戻す」を漢字で書くと?
「よりを戻す」という表現は、「ヨリを戻す」とも書きます。また、漢字で表記すると、「縒りを戻す」となります。
「縒り」には、二本以上の糸や紐をねじってからみ合わせて一本にすること、またはねじり合わせて一本にしたものという意味があります。ロープや麻糸、こよりなどをイメージするとわかりやすいでしょう。
「よりを戻す」の意味
「よりを戻す」には以下のような意味があります。
- よってあったものをほどいて、もとに戻す。
- もとの状態にする。特に、人と人の関係をもとの状態にする。
1は、ロープなどのような数本の紐(ひも)をねじり合わせて一本にされているものを、もとの一本一本の状態に戻すということを意味しています。
そして2は、一本一本の紐がねじり合わされている状態を、さまざまな事情や問題などによってこじれてしまった人間関係にたとえて、それらを解くことで、もとの状態に戻すという意味です。1の意味が転じて、2の意味でも使われるようになったとされています。
「よりを戻す」の使い方
「よりを戻す」を、2の意味で使う場合は、特に、恋人や夫婦などのような親密な関係がもとに戻ることに対して使われることが多いです。
また、人間関係だけでなく、会社や組織などのような人以外の関係がもとの状態に戻ることを指して使われる場合もあります。
例文
- 必要のなくなったロープのよりを戻した。
- 10年近く前に別れた恋人と久しぶりに会い、よりを戻すことになった。
- 交渉が決裂して以来、関係が悪くなっていたA社とB社だったが、よりを戻したようだ。
「よりを戻す」と似た意味の表現
元の鞘に収まる(もとのさやにおさまる)
「元の鞘に収まる」には、仲が悪くなるなどして交際を絶ったり離縁したりした人が、再び以前のような関係に戻るという意味があります。「元鞘(もとさや)」や「元鞘に収まる」のように省略したかたちで使われることも少なくありません。
「鞘(さや)」とは、刀の本体部分にあたる刀身を納める筒のことであり、「元の鞘に収まる」は、鞘から抜き放たれた刀身が本来の場所である鞘に収まることに由来します。「元の鞘に収まる」は「元の鞘に納まる」と書くこともあります。
また、「元の鞘へ収まる」という表現もありますが、こちらも「元の鞘に納まる」と同様に、再びもとの仲に戻ることを意味します。
【例文】
- 派手にケンカをして絶交している状態の二人だが、何とか元の鞘に収まってくれたらと心から願っている。
- 私の両親は、しばらく会わない間に元の鞘に収まっていた。
復縁(ふくえん)
「復縁」とは、離婚した夫婦や養子縁組が解消された養親子の関係が、再びもとの関係に戻ることです。「よりを戻す」や「元の鞘に収まる」と同じように、別れた恋人との関係がもとに戻ることを指して「復縁」と使われることもあります。
しかし「復縁」は、「夫婦関係がもとの状態に戻ること」を指して使われてきた表現です。そのため、恋人と「よりを戻した」ことに対して「復縁」という言葉を使うと、人によっては「この二人は夫婦だったんだ」と誤解されてしまう可能性もあります。
【例文】
- 私の友人は、元夫から復縁を迫られて困っている。
- 今回の復縁について周りはとても心配していたが、復縁した二人はとても幸せそうに暮らしている。
「より」を含む他の表現
「よりが戻る」
「よりが戻る」の意味は「よりを戻す」と似ており、よりがもとに戻る・物事や人と人の関係がもとの状態になることを意味します。
「よりを戻す」は「元の状態にする」ことを表すのに対し、「よりが戻る」は「もとの状態になる」ことを表す表現です。そのため、「よりが戻る」といった場合には、自然のなりゆきによってもとの状態に戻ったということも表現できます。
また、「よりが戻る」も「よりを戻す」と同様に、人以外の関係に対しても使われることがあります。
【例文】
- 時間が経ったことで、麻糸のよりが戻ってしまった。
- あの二人はいつの間にかよりが戻っていた。
- AチームとBチームのよりが戻るのは、我が社にとって喜ばしいことだ。
「よりを掛ける」
「よりを掛ける」には、糸や紐などをねじり合わせるという意味があります。また、「腕に縒りを掛ける(うでによりをかける)」を省略した表現としても使われます。
「腕に縒りを掛ける」とは、自信のある腕前を十分に発揮しようとして意気込むことです。「腕前」とは、物事を上手くやってのける技術や能力のことを言い、多くの場合、物を作る技術や能力のことを指します。
【例文】
- 糸によりを掛けて丈夫にする。
- 母親の誕生日を祝うために、よりを掛けて料理を作った。