「指をくわえる」とは
羨ましい時に思わず指をくわえる動作をしてしまうことはありませんか?また、「指をくわえているだけでなくしっかりやろう」と言われたことはありませんか?
「指をくわえる」とは、「うらやましいけれど手がだせない」または、「恥ずかしそうにする」という意味の慣用表現です。よく使われる意味としては、前者が多いのではないでしょうか。
「指をくわえる」は、「指」と「くわえる」から構成されています。それぞれの意味を見ていきましょう。
「指」の意味
「指」とは、手足の末端の5本に分かれた部分をさします。また、それぞれの指は、「親指」や「薬指」などの名称がついています。「指をくわえる」の「指」は、どの指なのかははっきりと決まっていませんが、主には「人差し指」と言われています。
「くわえる」の意味
「くわえる」とは、「歯や唇にものをはさんで支える」という意味です。古典での用法では、「伴う。従える」といった意味もあります。
「指をくわえる」の使い方
- バッターボックスであまりの剛球に指をくわえるしかありませんでした。
- 私は彼の出世の早さをただ指をくわえて見ているだけです。
- 発表会で彼女の演技の素晴らしさを目の当たりにして指をくわえるだけでした。
- 先生からは指をくわえてばかりでは進歩がないと言われています。
「指をくわえる」の類語
「羨望の眼差し」(せんぼうのまなざし)
「羨望の眼差し」は、「羨望」と「眼差し」から構成されています。「羨望」が「うらやましく思うこと」、「眼差し」が「目つき」という意味です。つまり、「うらやましそうな顔をして見つめているさま」を表現しています。この「うらやましそうなさま」が似通っています。
ただ、「指をくわえる」の方が、「うらやましさに圧倒されて何もできない」という意味を含んでいます。
[例文]
- 女性社員たちは、イケメンで仕事もできる彼を羨望の眼差しで見つめていました。
- 子どもたちは、憧れのプロ野球選手を羨望の眼差しで見つめるばかりです。
「呆然(ぼうぜん)と見つめる」
「呆然と見つめる」とは、「気が抜けたようにぼんやりして見つめているさま」を表現しています。この言葉は、「気抜けしている様子」だけを表し、「指をくわえる」のように突っ込んだ意味がない点において、若干ニュアンスが違っています。
[例文]
- 悲惨な災害現場をただ呆然と見つめるだけであった。
- 相手チームのサヨナラホームランを呆然と見つめていました。
「指」を用いた用語
「指」を用いた用語や表現はたくさんあります。「指」がどのような状態になるのかによって、意味や表現が変わってきます。「指」のバリエーションによる用語などを見ていきましょう。
「後ろ指」
「後ろ指」は、「人の後ろから指をさすさま」を、「悪口を言う。陰口をたたく」という意味として表現しています。
[例文]
- 父親からは後ろ指をさされるような人間になるなと言われてきました。
- 今の職業柄、後ろ指をさされるような行動はできません。
「三つ指」
「三つ指」は、親指、人差し指、中指のことをさしています。この三つの指を床に突いて、お辞儀をする様子から、「丁寧で改まったお辞儀」のことを表す意です。
[例文]
- かつては、いつも三つ指を突いて玄関でお出迎えをしていました。
- 相手は三つ指を突いて申し訳なさそうに謝罪しました。
「指折り数える」
「指折り数える」は、「指を一本ずつ数えるさま」から転じて、「待ち焦がれた日が来るのを一日一日数える」ということです。また、「指折り」には、「数えたてるほどすぐれている。屈指」という意味もあります。
[例文]
- 母親は東京にいる子どもの帰りを指折り数えて待っています。
- 子どもたちは夏休みを指折り数えて待ち焦がれています。