「憎たらしい」とは?
「憎たらしい」(にくたらしい)とは、「なんとも憎らしい、本当に憎く思われるさまである」「まったく可愛げがない」「まったく気に入らない」という意味の言葉(形容詞)です。
「憎らしい」を強めて、「本当に、まったく憎らしい」という意味を表すのが「憎たらしい」であり、対象を憎く思う気持ちが輪をかけて大きいさまを表します。
「憎たらしい」の使い方
「憎たらしい」は、何らかの物事の様子について、それが思い通りにいかないがために、「(その相手に)何か悪いことがあればよいのに」と思うほどの抵抗感や腹立たしさをこめて使います。
「憎らしい」よりも強い表現ですので、「憎らしい」と言うだけでは足りない、「まったく!」「本当に!」憎らしい、と意味を強めたい際に使うのがポイントです。
悪い意味ばかりとは限らない
一点注意したいのは、「憎たらしい」は、相手に嫌悪感や不快感をもよおすネガティブな文脈で使われることも多い一方で、自分の意思が相手に伝わり切らないために「つい憎い気持ちになってしまう」という「期待の裏返し」としても使われる点です。
例えば、言葉が通じない動物、ここでは猫を例にとりましょう。猫は、飼い主など人間と意思疎通できているかのような従順な態度をとった…かと思えば、次の瞬間にはそっぽを向いて、人間の言うことを聞かなくなってしまうことがあります。
最初から猫が人間に対して完全に無関心な生き物であれば、誰も落胆はしないでしょう。しかし、猫に対する期待や好意が存在するために、それが叶えられなかった時に、相手に対する「憎たらしさ」が発生することもあるのです。
例文
- 何をしても泣き止んでくれない幼い息子を、なんと憎たらしい生き物かと思うこともあった。
- Aさんは、自分より経済的に裕福で、勉強ができ、運動も得意なBさんのことを日ごろから憎たらしく思っていた。
- 何日も降り続けるこの憎たらしい雨のせいで、満足に出かけることもできない。
- 久しぶりに実家に帰ると、まるまると太った飼い猫がふてぶてしくソファで眠っていた。その憎たらしい姿を見ると、思わず撫でまわしたくなる。
- 彼は、自分を裏切った男の話を憎たらしげに語った。
「憎たらしい」の英語表現
「憎たらしい」を英語で言いたい場合には、「hateful」(憎い、ひどくいやな)がまず候補に挙がります。「hate」(嫌悪、憎しみ)が満ちた、相手への嫌悪感があふれる表現です。
他に、「oudious」(憎らしい、いやらしい)、「provoke」(怒らせる、いらいらせる)、「detenstable」(大嫌いな、忌まわしい)などの単語でも良いでしょう。
ただし、「本当は憎くない相手なのに(好きなのに)、つい憎い気持ちにされてしまう」という皮肉のニュアンスであれば、「嫌悪」を表す言葉ではなく、素直に「darling」(お気に入り、最愛の)などとしたほうが良いでしょう。
例文
- He gave me a hateful gaze the entire time I was talking.(彼は私が話す間、ずっと憎たらしそうなまなざしを向けてきていた)
- He told that exaggerated lie with a hateful calmness.(彼はその大げさな嘘を、憎たらしいほど冷静に語った)
- My darling cat comes early every morning to wake me up with his super noisy meowing.(私の憎たらしい飼い猫が、毎朝うるさく鳴いて私を起こしにくる)※皮肉的なニュアンス