「多忙を極める」とは
「あの人は多忙を極めている」と言う場合、その人の「忙しさ」のグレードは最上位の部類に入るのではないでしょうか。
「多忙を極める」は、このように、「この上なく忙しいこと」を意味する慣用表現です。「多忙を極める」は「多忙」と「極める」から成り立っていますので、それぞれの意味を見ていきます。
「多忙」の意味
「多忙」とは、「非常に忙しいこと。または、そのようす」という意味です。「多忙な毎日」や「多忙な身」などの言い回しでよく使われます。
「極める」の意味
「極める」の意味はたくさんあり、意味によっては「究める」や「窮める」と表記することもあります。「多忙を極める」という場合の「究める」は、「極限に達した状態になる」という意味です。
「多忙を極める」の使い方
- 彼は多忙を極めていますが、充実した日々を送っています。
- 先生は新しい学校へ赴任したばかりで多忙を極めています。
- 彼女は本業の他に副業に追われる日々で多忙を極めています。
- 彼は医師として多忙を極める中で、今後の地域医療のあり方を考えています。
「多忙」と「多用」との違い
「多忙」と似た意味を持つ言葉に「多用」があります。「多用」とは、「用事が多いこと。忙しいこと」で、「ご多用中恐縮です」などの慶事の挨拶でも用いられる言葉です。
忙しい様子は同じでも、「多用」は「用事の多さ」に重点が置かれた表現となっています。なお、「多用」には「多く用いる、たくさん使う」という意味もあります。
「多忙を極める」の類語
「忙殺」
「忙殺」(ぼうさつ)とは、「非常に忙しく仕事に追われること」という意味です。この場合の「殺」は、「忙」を一層強める働きがあります。「多忙を極める」に相当する表現と言えるでしょう。
[例文]
- 今月、私は仕事に忙殺されています。
- 本業をしっかりと行いたいけれど雑務に忙殺されています。
「繁忙」
「繁忙」(はんぼう)とは、「仕事が多くて忙しいこと。またはそのようす」という意味です。この言葉も忙しい様子を表していますが、おもに繁盛して忙しい状態の表現に用いられます。
[例文]
- この仕事は10月から12月にかけて繁忙期を迎えます。
- これから繁忙の時期となるので帰宅も遅くなります。
「繁多」
「繁多」(はんた)とは、「物事が非常に多いこと。用事がたくさんあって忙しいこと」という意味です。煩わしい用事が多いことを表しているため、「多忙を極める」とは少しニュアンスが異なります。
[例文]
- 繁多な業務が多く、こなすだけで精一杯です。
- ここしばらくは御用繁多で休暇も取れません。
「慌ただしい」
「慌ただしい」は、「何かをしようとしてせきたてられる様子。せわしなくて落ち着かない落ち着かないさま」または、「状況が急変して定まらないさま」を表しています。忙しいことよりも「せかせかとして落ち着かないさま」に重点が置かれた表現です。
[例文]
- 師走を迎え、何かと慌ただしい日々を送っています。
- 日本経済の動向は米中貿易摩擦の影響を受けて慌ただしく変動しています。
「多忙を極める」の英語表現
「多忙を極める」のシンプルな英語表現としては、「be very busy」や「be so busy」などが挙げられます。
[例文]
- I am very busy with my work.(私は仕事で多忙を極めている)
- He was so busy.(彼は多忙を極めていた)