「ぴったり」の意味
「ぴったり」とは主に以下の3つの意味があります。
- 物事のよく合うさま。またうまく当たるさま
- よくついて離れないさま。ねばつくさま
- すきまなく合わせたり閉じたりするさま。びっちり
1は、「ぴったりな服」「予想がぴったり当たる」のように物の大きさや量または時間や予想などが寸分の狂いもない状態を意味します。
2は、「髪の毛がぴったりくっつく」「ぴったりくっついて離れない」のように物質同士が固く結合していることを意味します。
3は、「ぴったりと扉を閉める」のように物と物が隙間なく密着している様子を意味します。
「ぴったり」の使い方と例文
3つの意味ごとに使い方を紹介します。なお、「ぴったり」は、話し言葉で多く使われ、書面に書き起こすことの少ない言葉です。また少し軽い言葉なのであまり畏(かしこ)まった場所では使わない方が無難でしょう。
意味1「物事のよくあうさま」
1の意味で使う場合は、「ぴったり12時」や「ぴったり枠内」のように名詞の前につくことが多いです。また「ピッタリ」とカタカナで表記されることも多いです。
【例文】
- 今日は雨が降りそうな気がしたので傘を持って出かけたところ、予想がぴったり当たり帰宅時には大雨になっていた。
- 姉の着なくなった洋服を譲り受けたところサイズがぴったりで何だか得をした気分になった。
意味2「よくついて離れないさま」
2の意味は、物理的な意味で使われることが多く、「ぴったりとして離れない」や「ぴったりとくっついている」のように使います。
【例文】
- 接着剤を使う作業をしていたら誤ってこぼしてしまい、親指と人差し指がぴったりとくっついてしまった。
- 夏の体育の後は髪の毛が額にぴったりとくっついてとても煩(わずら)わしい。
意味3「隙間なく合わせたり閉じたりするさま」
3の意味も物理的な意味で「扉をぴったり閉める」や「窓をぴったり閉める」のように使います。
【例文】
- 窓をぴったりと閉めないとこの時期は虫が入ってくるので注意が必要だ。
- 冷蔵庫のドアをぴったりと閉めたつもりが半開きになっておりブザーが鳴った。
「ぴったり」と「ぴたり」の違い
「ぴったり」とよく似た言葉に「ぴたり」があります。「ぴったり」は、「ぴたり」の促音便(そくおんびん)読みになります。促音便とは「活用語の連用形の語尾『ち』『ひ』『り』が、『て』『た』『たり』に連なる時に促音『っ』に変わる現象のこと」です。
この現象はある一部の名詞の中でも起こります。例えば「やはり→やっぱり」「真白(ましろ)→まっしろ」「夫(をひと)→をっと」などが当てはまります。では読み方と一緒に意味も変わるのでしょうか。
実は「ぴたり」には「ぴったり」の意味に加えて「急にとまるさま」という意味があります。「雨がぴたりとやむ」のように使いますが、「ぴったり」にはない意味です。意外と知られていない違いのため覚えておくと良いでしょう。
「ぴったり」の類語
「丁度」
「丁度(ちょうど)」は、意味1での類語となります。意味は「時間・分量などの余分もなく不足もないさま。きっかり」です。主に古語として使う場合には「あたかも。まるで」「なみなみと」といった意味も含みます。
「丁度」には、もともと「ぴったり」という意味が含まれます。また「ぴったり」と同じく物の大きさや時間にも使うことができ、「丁度時間だ」や「サイズが丁度良い」のように置き換えることも可能です。
ちなみに日本人は「丁度」のことを「ジャスト」と言いますが、英語を母国語とする人には通用しないことを知っていますか。例えば「12時ちょうど」と伝えたい場合は「at twelve sharp」や「at exactly twelve」を使うと良いでしょう。
「しっかり」
「しっかり」は、意味2での類語となります。意味は「確かなさま。ゆるぎないさま」です。他にも「気をしっかり持て」という場合は「気を引き締める。気丈(きじょう)にふるまう」という意味になります。類語としての「しっかり」は前者です。
例えば、「しっかり結ぶ」は離れることのないように物質同士を繋(つな)げることを意味します。これは「ぴったり」と共通しており、文章内で言葉を置き換えることも可能です。ちなみに「しっかり」は漢字で「確り」または「聢り」と書きます。
「きちんと」
「きちんと」は、意味3での類語となります。意味は「過不足なく、正確に」です。他にも「服をきちんとたたむ」などの場合は「乱れなく。整って」という意味になります。「ぴったり」の類語としては「正確に」という意味が重要になります。
「きちんと」は「正確にまたは丁寧に物事をこなすこと」で、「ぴったり」の言い換えに使うことが出来ます。「窓をぴったり閉める」「窓をきちんと閉める」というように言い方は違えど、行う動作は同じです。
「きちんと」のくだけた言い方に「きっちりと」や「ちゃんと」などがあります。目上の方との会話やメールにおいてこれらの言葉を使うことは適していませんが、フランクな場では同じ意味で使っても問題ないでしょう。