「ハードワーク」とは?
「ハードワーク」とは、「厳しい仕事」という意味の言葉です。英語の「hard work」に由来する言葉ですので、基本的には「ハードな仕事」と解釈してよいでしょう。
まず、「hard」と「work」それぞれの意味を確認しておきましょう。
「hard」
「hard」は多義語であり、「厳しい」のほかに「硬い」「熱心な」「根を詰めた」「困難な」「強い」「一生懸命な」といった意味も含みます。
「ハードワーク」といった場合も、「厳しい、つらい」といったネガティブな意味ばかりではなく、「熱心」「妥協しない態度」という前向きなニュアンスもある点に留意しましょう。
「work」
「work」は、賃金労働としての「仕事」の意味がよく知られていますが、仕事以外でも「作業(工程)」「努力」「勉強」といった意味があります。「ロードワーク」(運動選手などが路上を走りながら行う訓練)などが好例ですね。
「ハードワーク」の「ワーク」も基本的には「仕事、ビジネス」の意味ですが、運動・スポーツなどの分野で使用されることもあります。
「ハードワーク」の使い方
「ハードワーク」は主に何らかの仕事(労働)を指し、それが厳しいさま、根を詰めて働くさまを言い表すために使います。
一見ネガティブな用語のようですが、精神論や根性論の観点からは「困難な仕事ほどやりがいがある」「厳しい状況に置かれてこそ人は成長する」とも言えます。そのため「ハードワーク」も、働き方のスタイルのひとつとして肯定的な文脈で使われることがあります。
だらだら惰性で働くよりは、多少の厳しさを受け入れて「ハードワーク」したほうが心身が健康である、と考えれば、この言葉に肯定的なニュアンスが含まれていることもうなずけるかもしれません。
用例
- 病院勤務の彼女は、このところ家に帰って寝る時間もないほどのハードワークらしい。健康面が心配だ。
- 社長があれほどのハードワークでも倒れないのは、体調管理をはじめとする時間のマネジメントが完璧だからだ。出世するわけだよ。
- チームメンバーは、新監督に言われた通りのハードワークをこなし、試合での目覚ましい成果につなげた。
- ハードワークの精神が信仰されていたのは昭和まで。今はワークライフバランス(仕事と私生活のバランス)が大事だと私は思う。
「ハードワーク」は和製英語?
「ハードワーク」は、日本語から生み出された英語表現、いわゆる「和製英語」ではないかと考えられています。
「hard work」(きつい仕事)という名詞が英語圏で通用しないわけではありません。しかし「ハードワーク」は「仕事」(名詞)そのものというより、多くは「働く」(動詞)ことや「働きかた」のハードさに注目した言葉です。
この場合、英語では動詞を先行させて「work hard」としたほうがニュアンスが通じやすいのです。「ハードワーク」を英語で言いたい際には、「work hard」という表現も覚えておきましょう。
英訳の例
- It seems that she has been working so hard these days that she doesn't even have time to go home and sleep.(彼女は、このところ家に帰って寝る時間もないほどのハードワーク[=ハードに働いている]らしい)
「ハードワーク」のまとめ
「働き方」に関する人々の意識は、近現代の日本に限っても少なからぬ変化を遂げています。骨を粉にし身を砕いて会社に尽くす態度が良しとされた時代もあれば、「過労死」が社会問題となり労働と生活のバランスが見直された時期もありました。
現在、日本では労働人口の減少に伴い、政府による「働き方改革」が遂行中であり、人々の仕事のありかたは今後大きく変わっていく可能性があります。
個々の事情は千差万別ですから、仕事を愛し、自ら「ハードワーク」に価値を見出す方も少なくはないでしょう。しかし、望まぬうちに「ハードワーク」に追い込まれる事態だけは、できるだけ避けたいものですね。