「危なげない」とは?
「危なげない」は「危な気ない」とも表記します。読み方は(あぶなげない)。「危なげな」「危なげのない」「危なっかしい」など同じような表現がたくさんあって、紛らわしいですね。
「危なげない」とは、危なっかしい感じや様子がしない。安定していて、安心して見ていることができる様子、などを意味する言葉です。
「危なげない」によくある誤解
「危なげない」は、「危なげ(見ていてハラハラする様子)」なことが「ない」わけですから、「危なげではない→安定している」とわかりやすい言葉のはずなのですが、なぜか正反対の意味に誤解されることが多いようです。
「危なげ(な)」とよく似ているためか、「危なっかしい」「不安定な」という意味だと誤解されやすいのです。
「危なげない」の使い方
「危なげない」は、基本的には、そのあとになにかを達成する状況が示されます。そのことから、スポーツの実況中継や、仕事ぶりの評価など、結果が反映される状況で使われることが多いのです。
ほとんどの場合は、「危なげない(名詞)」「危なげなく(動詞)」の形で用いられますが、時には、「~は~なので危なげない」と最後に置かれることもあります。
「危なげない」の文例
(フィギュアスケートアナウンサー)
鈴木選手、実に危なげない4回転ジャンプを2回決め、高得点をたたき出しました!
(販売員)
新しく配属された新人の子の接客ぶりは危なげないし、知識も豊富で、見ていて安心だわ。
(舞台監督)
君は、台詞は危なげなくこなすが、感情というものが伝わらないんだよ。
(教師)
山本さんは成績はあまりふるわないけれど、生活ぶりは規則正しく健康的で危なげないわ。
「危なげない」の類語
「安定した」の意味と使い方
「安定した」は、動詞「安定する」の連用形「安定し」に助動詞「た」(過去・完了・存続・確認)で構成されている言葉です。
意味は3つあります。①物事が落ち着いていて、大きな変動がないさま。②刺激を与えても、もとの状態がほとんどぶれずにいること。③物質が容易に変化しないこと。「危なげない」の類語としては、①と②の意味が該当します。
【文例】
- 中村君は最近受験勉強の成果が出てきて、模試の偏差値がいつも安定して高い。
- 佐々木選手の床体操の着地は、安定した形を保てている。
「手堅い」の意味と使い方
「手堅い」は、(てがたい)と読みます。意味は2つで、①物事への対処が堅実で、危なげないこと、際立って素晴らしくはないが、確実であること。②相場が安定していること。「危なげない」の類語としては、①の意味が該当します。
「危なげない」に比べると、戦略や作戦的に考慮したうえで、失敗をなくして確実にやりとげる、というニュアンスがあります。
【文例】
- 田中監督は、打者にバントのサインを送り、まずは手堅い1点をあげさせた。
- 営業部の佐々木君は、飛びぬけた成績は出さないが、コンスタントに手堅い販売実績をあげる。
「無難」の意味と使い方
「無難」は、(ぶなん)と読み、次の2つの意味を持ちます。①危険や間違いのないこと、無事であること。②欠点がないこと、格別に優れているとはいえないが、大きな欠点もないこと。
2つの意味ともに、「危なげない」の類語足りえます。とはいえ、どちらかと言えば「可もなく不可もなく、悪くはない、とくに素晴らしいというわけではないが合格ライン」などの消極的ニュアンスです。
「無難」は「難が無い」ということですから、「とりたてて悪いわけではない」というほどの意味であることに留意して使いましょう。
【文例】
高橋選手は、無難なタイムでとりあえずは予選を通過した。