「理に適う」とは
「理に適う(りにかなう)」とは、「理屈や道理に合う。理屈のとおり。合理的である」という意味です。
では「理」とは何でしょう。「適う」とはどういうことでしょう。上記の意味からおおよその意味がわかるかもしれませんが、以下に詳しく見ていきます。
「理」とは
「理」は、「(音読み)リ、(訓読み)ことわり・すじ・おさ-める」と読み、以下のような意味があります。
- 物事のすじみち。ものの道理。理屈。道理。法則:「理解」「理由」「定理」など
- すじ。すじめ。きめ。もよう:「地理」「連理」「節理」など
- おさめる。ととのえる:「理事」「管理」「整理」など
- 自然科学:「理科」「理学」「理数」など
- (仏教で)真理・真実、または法・規範などのこと:「仏教の真如(しんにょ:あるがままの状態、永遠不変の真理)」「法性(ほっしょう=真如)」など
「適う」とは
「適う」には、「条件に適う」「基準に適う」などのように、「条件や基準などにぴったり当てはまる。適合する」という意味があります。
「理に適う」は、「理」の1の意味と合わせて、「理屈や道理に当てはまっている」ということができますね。
「理に適う」の使い方・例文
- 主治医の説明は、インフォームドコンセントの理に適ったものだった。
- 感情的な人に対して、理に適う説明をしてもなかなか納得してもらえない。
- 理科の実験は、理に適う方法で慎重に行わないと事故の危険性が大きい。
- 糖質制限は、理に適ったダイエット方法というが、本当だろうか。
- 今のサッカー選手の攻撃は、理に適った頭脳プレーだった。
- 彼が延々と言う理屈は、理に適わない屁理屈にすぎない。
「かなう」について
「かなう」には、「適」のほかに「叶」「敵」という漢字を使う用例もあります。
「叶う」は、「思いどおりに実現する。願っていたことがそのとおりになる」という意味で、「敵う」は、「(打消しの言葉を伴って)可能である。対抗できる。匹敵する」という意味を持ちます。
また、ひらがな表記かつ否定形で「かなわない」「かなわぬ」という使い方もあります。意味は「そうすることやそういう状態に我慢できない。やりきれない。たまらない」です。
【例文】
- (叶)私の初恋は、叶わぬ恋だった。
- (敵)料理のセンスでは彼女に敵わない。
- (ひらがな)緊急事態宣言が出たから、家に籠っているけど、退屈でかなわない。
「理」を使った二字熟語(あまり知られていないもの)
「理」の説明で用例として挙げた熟語の多くはその意味や使い方がよく知られているものですが、中にはあまり知られていない熟語もあります。
ここでは、「連理」や「節理」の二つの例を挙げて説明します。
「連理」
「連理(れんり)」とは、1本の木の枝が他の木の枝と連なって、1本の木のように木目が通じ合っていることを言い、その様子から「夫婦・男女の仲がきわめて親密なことの例え」として使われます。
「連理」は、特に歌舞伎や文楽などの古典芸能で「連理の契り」や「比翼連理(ひよくれんり)」という表現で用いられています。
比翼とは中国の伝説上の鳥で、雌雄ともに一目一翼なので、いつも並んで一体となって飛ぶと言われています。連理と合わせて、男女の契りの深さに例えられる表現が「比翼連理」です。
「節理」
「節理(せつり)」には、「ものごとの道理やすじみち」という意味のほかに、地学で「地層や岩石のなかの割れ目で、ズレていないもののこと」を言い、ズレがある「断層」と区別されたもののことです。
地学分野の「節理」で有名なものとしては、北海道の「層雲峡」や兵庫県の「玄武洞」などで見られる「柱状節理(岩に柱状に入った割れ目)」があります。