「寝耳に水」の意味
「寝耳に水」とは「予想もしなかった突然の出来事に驚きあわてること」を意味します。
「寝耳に水」の使い方
・昨日、上海への転勤を命じられた。寝耳に水の人事異動に血の気がひいた。
・大好きな安室奈美恵が引退するなんて、寝耳に水だった。
・体調を崩しているとは聞いていたが、肺炎だったとは寝耳に水の話だ。
思いがけない事を聞いて非常にびっくりした、というケースで使われていますね。
「寝耳に水」の由来
「寝耳」とは「寝ている時の耳」を意味します。「寝耳に水」は「寝耳に水のはいるごとし」の略で、寝ている時の耳に水がはいったかのように、ということです。ただし、この「水」には様々な解釈があります。
「水」の解釈
・寝ている時に大水が出てしまい、大きな水音が耳に入って(=聞こえて)驚いた。
・寝ている時に洪水を知らせる大きな叫び声が耳に入って(=聞こえて)驚いた。
・寝ている時に耳に水が入ってきて驚いた。
どの解釈においても、「寝ている」という無防備な状況で、思ってもいない「不意なことが起こる」ことが由来だと言えます。そして、そこから転じて「突然の出来事に驚き慌てることの例え」として使われるようになったと考えられます。
「寝耳に水」の類義語
現代編
・青天の霹靂(せいてんのへきれき)
…晴れ渡った青空なのに急に雷が鳴りだす事から、突然に起こった思いがけない出来事。
(例:監督の辞任は青天の霹靂だった)
・藪から棒(やぶからぼう)
…何の前ぶれもなく、急に物事をする様子。
(例:藪から棒に何を言い出すんだ)
「青天の霹靂」は「寝耳に水」とほぼ同じように使われています。一方、「寝耳に水」が予想外の出来事に「驚く、慌てる」という点がポイントであるのに対し、「藪から棒」は「唐突、いきなり」など「急な様子」という点がポイントであると言えるでしょう。
江戸時代編
今ではあまり聞かれなくなったようですが、江戸時代にはこんな言い方もありました。
・寝耳に擂粉木(すりこぎ)
・寝耳に石火矢(いしびや)
・寝耳に槍(やり)
寝ている時にすりこぎや槍などが耳に入るなんて非現実的ですが、だからこそ予想をはるかにこえる驚きだろうと想像できます。「寝耳に水」よりもさらに衝撃的であることが強く伝わってきますね。
「寝耳に水」の英語表現
「寝耳に水」は英語では直接的にa thing quite unexpected(全く予期しない出来事)などと表現されるだけでなく、日本語と同じように慣用表現も用いられます。
「寝耳に水」の英語での慣用表現
・a bolt from the blue(青空からの稲妻)
例:Her resignation came like a bolt from the blue.
(彼女の辞任は寝耳に水だった)
・out of the blue(青空から)
例:An old friend came to see me out of the blue.
(旧友の来訪は寝耳に水だった)
・a thunderclap(一回きりの雷鳴)
例:The news came as a thunderclap.
(その知らせは寝耳に水だった)
直訳して考えると、日本語の「青天の霹靂」と同じですね。
まとめ
ここでは「寝耳に水」の意味と使い方を中心にご紹介しましたが、いかがでしたか?ちなみに江戸時代には「寝耳に水の果報」「寝耳に小判」「寝耳に銭」という言い方もありました。これは「降ってわいたような思いがけない幸福」という意味だそうです。「寝耳に水の果報」が近々みなさんにもあるといいですね。