「融通が利く」の意味
「融通(ゆうずう)が利く(きく)」は、「臨機応変に事を処理すること」を意味します。ビジネスシーンにおいてはよく「融通が利く人」や「時間の融通が利く」のように使われる事が多いです。
「融通」の意味と語源
「融通」には複数の意味が存在します。
- 物事に柔軟に対応し的確な処理を行うこと
- 金銭の流通をすること。金銭をお互いの間でやりくりすること
- 融けあって滞りなく通ずること
「融通が利く」は、1の意味です。2の意味で使う場合は、「金銭を融通する」という使い方をします。また3の意味は、「融通」の語源である仏教用語の「融通無碍(ゆうずうむげ)」の意味を色濃く残しています。
「融通無碍」とは、「行動や考え方が何にもとらわれずに自由気ままであること」という意味があります。パナソニックの創業者である「松下幸之助氏」は、「弁慶と牛若丸」の話を題材にし、「素直な心を持てばどんな困難も融通無碍に対処することが出来る」と教えました。
「利く」の意味
「融通が利く」の「利く」ですが、「有効に働く・効き目がある」という意味があります。しかし、似た意味で「効く」という言葉があります。「利く」と「効く」は何が違うのでしょうか。
辞書にもハッキリとは明記されていない2つの言葉ですが、違いはあります。「効く」は、「効果や効能といった結果が得られるもの」に使います。例えば、「薬が効いた」「パンチが効いた」などです。
一方「利く」は、「機能が働く・可能である」という意味があり、「鼻が利く」「クレジットが利く」などのように使います。従って今回のテーマである「融通がきく」は後者である「利く」を使うわけです。
「融通が利く」を使った例文
【例文】
- 自分1人では仕事を終わらせることが出来そうに無いので、融通が利きそうな部下に手伝ってくれるようにお願いした。
- 今回のアルバイト先は融通が利きそうなので、学業に影響が出る心配はなさそうだ。
- 融通が利く人間が職場に1人いるだけでなんと心強いことか。自分も彼女を見習って出来る女になろう。
- 時間の融通が利きそうなら昼食を外で取ろうと思っていたが、甘い考えだった。
「融通が利く」の類語
「機転が利く」
「機転が利く」とは、「物事に応じて咄嗟に心が働くこと」という意味です。機転が利く人というのは、「状況に応じて素早く適切な対応が出来る人」のことを指します。機転にはもう1つ「気転」という漢字を当てることがありますが、一般的には「機転が利く」と表記されます。
「機転が利く」と同意の四字熟語として「当意即妙」という言葉があります。合わせて覚えておくと役に立つでしょう。
【例文】
- 度重なる注文によって工場はてんやわんやしていたが、機転が利く社員のおかげでこの危機を乗り切った。
- 彼はとても機転が利く人間だからどんな困難にあっても乗り越えていくだろう。
- 彼女は社内でも機転が利く社員として有名で、上司からの信頼も厚い。
「物分かりが良い」
「物分かりが良い」とは、「事情・状況、人の立場などを理解することに長けていること」という意味です。本来であれば「物分かりの良い人」とは、「融通の利く人」同様に重宝される人物を表すのですが、現代では少し違ったイメージを持たれているようです。
もちろん、本来の意味で使う人もいますが、物分かりが良いのは「自分を良く見せたい・自分のことを良く思ってもらいたい」という気持ちの表れであると解釈される傾向が強くなっています。悪く言うと「変化を恐れ一歩を踏み出せない人」のことを指します。
【例文】
- 彼女はとても物分かりの良い人間で、全てを伝える前にある程度の状況を把握してくれる。
- 今日出会った幼稚園児は、その年齢には似つかわしくないほどに物分かりが良く、お母さんの言うことを聞き、行儀よくしていた。
- 彼は物分かりが良いのが特長なのだが、会話をしていると本当はどう思っているか、時々聞きたくなる。