「思うところがある」の意味
「思うところがある」とは、内心で考えていることがある・思案していることがある・心当たりがあるという意味です。
「思うところがある」の「思うところ」とは、内心で考えていること、思慮・思案している事柄、心当たりを指します。このような「思うところ」が自分の中に「ある」ということで、「思うところがある」という表現をします。
「思うところがある」の使い方
私たちが内心で考えていることの中には、良い意味のものと悪い意味のものがあります。たとえば、仕事でいいアイデアが浮かんでいたり、課題に対する素晴らしい解決策を考えついたという場合は、良い意味の「思うところ」といえるでしょう。
反対に、相手に対して怒りを募らせているときや心配事があるときには悪い意味での「思うところ」があるといえます。
このように「思うところ」には二つの側面があるため、「思うところがある」という表現も、良い意味と悪い意味の両方で使うことができます。
例文
- 彼は何か思うところがあるようで、ずっと黙ったままでいる。
- この難題に取り組むにあたり、私には思うところがあります。
- 私はずっとあなたに対して思うところがあった。
「思うところなし」もある?
「思うところがある」という言葉があるのなら、「思うところなし」ということもできるのかと疑問に思ったことのある方もいらっしゃるでしょう。「思うところなし」というのも正しい表現です。
「思うところなし」には、思慮がない、心にかかることがない、少しも心配事がないという意味があり、何も考えていないことを表します。
しかし、「思うところ」といえば「思うところがある」という使われ方をすることが圧倒的に多いようです。
「思うところがある」の類語
「思うところがある」と表現することで、自分の考えや主張があることを伝えることはできますが、その深さなどを合わせて伝えることは難しいこともあるでしょう。
「思うところがある」の類語を使うことで、その考え方が価値観や人生観を示すほどに深いものであるのかといったことを表すことも可能になります。
「思うところ」では表しきれない微妙なニュアンスを表現したいとき、ぴったりの表現がこれら類語の中にあるかもしれません。
意見を持つ
「意見を持つ」は、「思うところがある」をとてもわかりやすくした表現といえるでしょう。「意見を持つ」は、ある物事や判断に対して考えを持っていることを意味します。子どもにも理解しやすいですね。
【例文】
- 私は、自分の意見を持つことはとても大事なことだと思っている。
- 私はその案件に対して、自分なりの意見を持っている。
持論を持つ
「持論」とは、常に主張している意見やその人の説のことです。ですから、「持論を持つ」という場合には、その人が常々主張している意見や考えがあることを示します。そのため、そのときに偶然ひらめいた考えに対して使うことは適さないでしょう。
【例文】
- 彼は独自の持論を持っている。
- 彼女はそのことについて持論を持っているので、説き伏せるのは難しいだろう。
一家言を持つ
「一家言」は「いっかげん」と読みます。「いっかごん」と誤って読んでしまうことが多いので、注意が必要です。
「一家言」とは、その人独自の意見や主張、物事の本質をとらえた意見のことを指します。ですから「一家言を持つ」とは、強い意思を持ち、物事の本質をとらえるほどに深く考えられている意見や主張があることを示します。
【例文】
- 私は子育てについては一家言を持っている。
- 一家言を持つ彼が主張を曲げるとは、余程のことがあったのだろう。
定見を持つ
「定見(ていけん)」とは、その人自身が持つしっかりとした考えのことです。そのため「定見を持つ」は、他の人のどのような意見にも左右されることのない強固な自分の考えを持っていることを意味します。
「何となく思っている」という程度で考えていることに対して用いるのには不向きな表現です。一方で、その考えに対する意思の強さを伝えることができますね。
なお、「定見がない」「無定見」は、定見を持っていない人を指す表現です。
【例文】
- 彼は定見を持っている男だ。
- 彼の言動を見ていると、定見がないことがよくわかる。
哲学を持つ
この場合の哲学とは、学問という意味での哲学ではありません。哲学には、自分自身の経験などから得た人生観・世界観、あらゆることに対する基本的な考え方・思想という意味もあります。
このことから、「哲学を持つ」は、その人の考え方の土台となるような常に持ち続けている考えや思想があることという意味です。
【例文】
- 私の先生は素晴らしい哲学を持っている。
- 人生に迷っている私に、先輩は哲学を持つと良いとアドバイスをした。