「色ボケ」とは?
「色ボケ」(色惚け)とは、恋愛ごとや男女間の情愛に夢中になってしまい、それ以外のことが考えられなくなっている人のさまや、そのような人のことを意味する言葉です。
「色」は、一般に色彩としての意味がよく知られていますが、実のところ、男女のまぐわいから成り立っている字です(詳しくは後述します)。
一方の「ボケ」は、「頭がぼける」(呆ける・惚ける)などの「ぼけ」です。すなわち、「色ボケ」は、色(男女のまぐわい)に心が持っていかれ、そのせいで頭の働きなどが鈍くなっているさまを表すわけですね。
写真・印刷用語ではない
「色」と「ボケ」は、どちらも写真(カメラ)業界や印刷業界で重要な用語です。色彩の重要性はもちろん、「ピンボケ」(ピントボケ)という用語も一般に知られていますね。
しかしこれらの業界に「色ボケ」という用語はないらしく、この言葉が使われているのは、上でご紹介した人の振る舞いや態度を言い表す場面に限られているようです。
色がはっきりしないといった意味で、「色がぼやける」「色がにじむ」と表現することはあるようですが、これらの意味で「色ボケ」と言わないようにご注意ください。
「色ボケ」の使い方
「色ボケ」は、男女間の営みやまぐわいに心を奪われ、その他のことが疎(おろそ)かになっている人のさまや、そのような人を指して使います。
性的な事柄に関心を持つことや、愛する人との交流に没頭すること自体は、人間として何ら問題ないことです。しかし、「色ボケ」と言う場合には、そのせいで他の物事に支障をきたしているという非難のニュアンスが強く出ますので、くれぐれもご注意ください。
「ボケ」という言葉が悪口や誹(そし)りとして使われていることからも、けっして良い意味の言葉ではないということがわかりますね。
例文
- あいつ、初めて彼女ができたからって、すっかり色ボケしちゃって。このところ大学にも出てこないんだ。
- この前、婚活パーティーに行ってきたけど、私の周りは色ボケした男しかいなかったわ。まあ、無欲を装うよりはいいけれど。
- 新婚生活の新鮮な楽しさを語っていただけなのに、独身の友人から色ボケも大概にしろ、と言われてしまった。
「色」の字義解説
「色」という字は、立っている人と、ひざまずいている人とが交じりあうさまを象形しており、「男女間の性欲」が原義です。ここから派生して「美しいこと、美人」「美しい顔色、彩り」などの意味が生じました。
今日では「彩色、色彩」という意味でイメージされることが多い「色」ですが、以下のような単語や表現に、もともとの「性欲」に関連する意味が見受けられます。
- 色欲(しきよく)…感覚的な欲望、情欲
- 艶然(えんぜん)…美人がにっこり微笑む
- 色男(いろおとこ)…好色な男。「色女」という語もある
- 色っぽい…異性の気を引く性的魅力
- 英雄色を好む(えいゆういろをこのむ)…英雄は女を好む性向がある
「色ボケ」の類語表現
「好色」
「好色」(こうしょく)は、「女との情事を好むこと」や「色好みの男」という意味です。「色を好む」と書く通りですね。基本的には、「男の性欲」について用いられます。
「好色」には他に「すぐれた顔色」「美女」という意味もあるのですが、現在では情欲に関する使い方が主です。
【使用例】
- 彼は酒やばくちよりも女が好きという、好色な男だった。
「助平」
「助平」(すけべえ)は、「好兵衛」から転じた語とされ、「好色の人」という意味です。「助兵衛」とも書かれます。「色ボケ」と同様、あまり良い意味で使われることはありません。
現代では「~平(兵衛)」という人称が少々馴染まないためか、「スケベ(すけべ)」と三文字で表記されることもあります。
【使用例】
- ちょっと助平なところを除けば、部長は付き合いやすくて良い上司だ。
「淫乱」
「淫乱」(いんらん)は、淫(みだ)らに乱れると書く通り、「みだらな行いをほしいままにし、性的に乱れていること」という意味です。
性の区別なく使うことができますが、「乱れる」と表現するほどの事態はかなりのものですので、使用する相手や状況には注意しましょう。
【使用例】
- 別れた彼氏が、私が淫乱だという悪い噂を流しているらしい。別に気にしないけど。