「いっちょかみ」とは
「いっちょかみ」は、「何にでも口を挟む人・何にでも首を突っ込む人、または、そのような行為」を意味します。簡単に言えば「でしゃばり」ということですね。
関西地域の方言ですが、SNSなどで広まり、他の地域に住む人たちにも知られるようになりました。「いっちょかみ」は漢字では「一丁噛み」と書きます。
「一丁」とは
「一丁」は豆腐や料理などを数える単位として使われますが、勝負事の一回・ひと勝負を指すこともあります。「よっしゃもう一丁」のような物事に取りかかる際の掛け声は、ここから転じたもの。「いっちょかみ」の「一丁」はこちらの用法でしょう。
「噛み」とは
「噛み」は「噛む」ことです。「噛む」には物を歯で挟むなどの意味もありますが、「いっちょかみ」の「噛む」は、物事と関係を持つ・ある事柄に関わることを指します。
ある事柄に一員として参加することを「一枚噛む」と言いますが、この場合の「噛む」も同様です。
「いっちょかみ」の語源
「いっちょかみ(一丁噛み)」は「一枚噛む」から派生したという説があります。「一丁、(一枚)噛んでやろう」といったところでしょうか。それが転じて、今の「首を突っ込む」という意味になったということです。
「いっちょかみ」の使い方
会話の途中に割って入ってくる、いらぬことに首を突っ込んで状況をかき回すといった人や行為は、他の人をイラッとさせがちですね。下の例のように、「いっちょかみ」は不快感や嫌悪感を伴って使われる場合が多いようです。
【使用例】
- いっちょかみが来た。あっちに行こう。
- 彼は見知らぬ人にもいっちょかみするから心配だ。
お笑い界での「いっちょかみ」
お笑い界では、「いっちょかみ」は「おいしそうな話だからとりあえず参加する」というニュアンスで用いられているようです。
具体的には、芸能活動だけでなく別ジャンルでも活動する、トーク番組のどんな話題にも参加する、その場をリードしている共演者に乗っかるなど、どこにでも顔を出していることを指します。
「いっちょかみ」は一般的には嫌われる行為ですが、お笑い界などではイジリの対象として面白がられることもあるのでしょう。
「いっちょかみ」以外の関西弁
「いっちょかみ」以外にも、SNSなどで一般に知られるようになってきた関西弁には次のような言葉があります。
「いちびり」
「いちびり」とは、ふざけてはしゃぎ回る事、または、そのような人を表す言葉です。いわゆるお調子者や目立ちたがり屋のことですね。「いちびってんと、ちゃんとせえよ(ふざけてないでちゃんとしなさい)」のように使います。
「てれこ」
「てれこ」はもともと歌舞伎用語で、二つの違う筋を一つの脚本にまとめ関連付けて一幕ずつ交互に進めていくことを指します。
ここから、交互・逆・互い違い・あべこべといった意味を持つようになりました。「ポスター、てれこになっとるで(ポスターが逆に貼ってあるよ)」のように用いられます。
「テープレコーダ(tape recorder)」を略すと「テレコ」。今時はICレコーダを使いますが、以前の名残でICレコーダのことも「テレコ」と呼ぶこともあります。しかし、「てれこ」にはこれ以外の意味もあることを覚えておきましょう。
「なおす」
「机の上なおしておいてな」と言われたら、修理を頼まれたと考える人もいるでしょう。しかし、関西では「机の上を片付けておいてね」という意味です。
一般的には、「なおす」は(物を)修理する・(病気や怪我を)治療するなどの意味で使いますが、関西弁では、片付けることでもあります。
「めばちこ」
「めばちこ」とは、まぶたにある脂や汗を出す腺が細菌に侵されて化膿してしまう病気、つまり、ものもらいのことです。
「モータープール」
「モータープール」とは駐車場のこと。英語を当てれば「moter pool」ですが、 これは和製英語であり、由来には諸説あります。この言葉は昭和20年代から使われていたそうです。