「雲散霧消」とは?意味や使い方をご紹介

「雲散霧消(うんさんむしょう)」という言葉を使ったことがありますか?詩的で美しい響きがある言葉ですが、難しい漢字が並んでいていざ書こうとすると躊躇してしまう熟語のひとつかもしれません。それでは「雲散霧消」の意味や使い方を詳しく解説していきます。

目次

  1. 「雲散霧消」の意味
  2. 「雲散霧消」の由来
  3. 「雲散霧消」の周辺
  4. 「雲散霧消」を使った例

「雲散霧消」の意味

「雲散霧消」とは「風や日光で雲が散り散りになり霧が消えていくように、跡形もなく消えること。また、そのように物事が消えてなくなること」を言います。「きれいさっぱりなくなって、すっきりした」というポジティブな意味で使われることは、比較的少ないようです。「残念ながら消えてなくなってしまい、寂しく悲しい」といったニュアンスを込めて使うケースのほうが多いでしょう。

「雲散霧消」の由来

「雲散」と「霧消」に分解することが可能です。「雲散」の二文字熟語としての意味は「雲のように散り散りになること」で、王粲の「贈蔡子篤詩」がルーツとされています。また「霧消」は「霧のようにはかなく消え失せること」の意味で、張賁の「奉和襲美先輩悼鶴」で使われました。いずれも昔の中国の漢詩に見られる言い回しです。

またお分かりの通り、どちらもほぼ似たような状態を意味する言葉ですから、「雲散霧消」と続けることで、より強調したり、言葉のリズムを調えたりしています。四字熟語の成り立ちとしては「完全無欠(かんぜんむけつ)」「威風堂々(いふうどうどう)」「紆余曲折(うよきょくせつ)」などと同じ構造になっています。

ちなみに、「雲散」と「霧消」をつなげた例としては、明治時代の民権論者である馬場辰猪(ばば・たつい)が「信用の説」と題した演説の中で使った事例が挙げられます。「その信用が堅固永久のものでなかったならば、往々にしてあっという間に本性が見えてしまって、(信用が)雲散霧消してしまうことは免れない」というくだりです。あまり詩的ではない文章の中で使われていますが、馬場は弁舌の達人として鳴らした人物だったようで、弁舌家ならではのリズミカルな日本語表現だと言えるかもしれません。

「雲散霧消」の周辺

ただ単純に消滅するというのではなく、状態を雲や霧にたとえるところは、いかにも詩的な感覚です。文選(もんぜん・中国の古い詩文集)に収められている王粲の「贈蔡子篤詩」では「風流雲散(風のように流れて雲のように散る)一別如雨(一別の雨のごとし)」とあり、親しい友人に対する惜別の念を表現しています。

漢字の組み合わせが似ている熟語

「雲散霧消」と同じ漢字が含まれる熟語も多くあります。意味的に近いものでは「霧散(むさん)」「雲消霧散(うんしょうむさん)」「雲散鳥没(うんさんちょうぼつ)」などがあります。

一方「雲合霧集(うんごうむしゅう)」だと逆の意味となり「多くのものが一時に集まること」で、「雲集霧散(うんしゅうむさん)」では「多くのものが集まっては、また散っていくこと」の意味となります。間違えやすいので、よく覚えておくとよいでしょう。

現代の「雲散霧消」

古い表現のようでいて、実は現代にも「雲散霧消」は息づいています。ポップミュージックの世界では、2018年発表のしーくん「BOYS SEE BOYS」というアルバムに「雲散霧消(feat.flower 鏡音レン)」という曲が収められています。宮下遊(みやした・ゆう)さんのカバーでも人気の曲のようです。

また、トレーディングカードゲームのWIXOSS(ウィクロス・タカラトミー)には、カード名が「雲散霧消」というカードがあります。これには相手の特定のカードをバニッシュ(vanish、英語で突然消えるという意味)させるという役目が与えられています。

「雲散霧消」を使った例

「密かに抱いていた野望は、あえなく雲散霧消した」
「リーダーが変われば、公約が雲散霧消となるのは目に見えている」
「あんなやつの口約束など、雲散霧消するに決まっているさ」


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