「悍ましい」とは?
読み方・表記
「悍ましい」の読み方は、<おぞ-ましい>です。「悍しい」(おぞま-しい)と書かれることもあり、表記としてはどちらでも構いません。
一般的には、「おぞましい」とひらがな表記されることのほうが多いでしょう。
意味
「悍ましい」は、「悍し」(おぞし)からきた言葉であり、その意味は以下の二つです。
- ぞっとするようで、いやな感じだ。おそろしい。
- 我(が)が強い。強情である。
このうち、現代で使われているのは1番目の意味にほぼ限られていますので、この記事では「ぞっとする、いやな感じ、おそろしい」の意味に絞って解説を進めます。
「悍」の字義
「悍ましい」の意味を深く知るために、「悍」(カン)の字について理解を深めておきましょう。「悍」の字は、「心」(りっしんべん)に「旱」(カン)と書きます。
「旱」の字は「つよい」という意味であり、すなわち「悍」は心がつよいこと、気が荒いこと、勇ましいこと、乱暴なことなどの意味です。「精悍」(せいかん:気性が鋭く勇敢である)などの熟語が知られていますね。
「悍ましい」に含まれる「おそろしい」という意味は、相対するものが乱暴で荒々しいさま、またはそのようなものを目にして気持ちが荒々しくなるさまから来ていると考えられます。
「悍ましい」の使い方
「悍ましい」は、何か恐ろしいさま、ぞっとして鳥肌が立つような様子を形容して使います。単純に「怖い」「恐ろしい」と言うよりも強めのニュアンスであり、感覚的・生理的な強い嫌悪感を表します。
主な使用状況としては、ホラー映画のぞっとするシーンや、痛ましい事故現場に遭遇した時などが挙げられます。精神的なものについても言うことができますので、「汚職まみれの政治家が支持を集めているなんて、悍ましい」といった人に対する使い方も可能です。
当然ではありますが、対人関係でそのまま使うと強い非難の性格を帯びてしまいがちですので、安易な使用にはご注意ください。
例文
- 小学生の頃、大規模な玉突き事故の現場に出くわしたことがある。あの悍ましい光景は、今も忘れることができない。
- 今話題のサスペンス映画だが、被害者の血がじわじわ床に広がっていくシーンがなんとも悍ましい。
- あの事件の顛末は、口にするのも悍ましい。
「悍ましい」の類語表現
「悍ましい」の類語表現としては、以下のような言葉が挙げられます。
- 嫌らしい
- 厭(いと)わしい
- 疎(うと)ましい
- 忌(い)まわしい
- 汚らわしい
- 胸が悪い
- 痛々しい
- 恐ろしい
どれも「嫌い」や「できれば遠ざけたい」というニュアンスを含むネガティブな意味の言葉であることがおわかりになるのではないでしょうか。
ただ、「対象を遠ざけたい(回避したい)気持ちがどれほど強いか」のニュアンスは、言葉によって少しずつ異なりますで、その点のみご注意ください。
「悍ましい」を英語で言うと?
「悍ましい」を英語で言いたい場合には「horrify」の現在分詞形、「horrifying」が良いでしょう。「ぞっとする~」「恐るべき~」などの意味を持つ形容詞です。「horrific」でも構いません。
もう少し簡単な単語では「scary」(恐い)や、「fearful」(恐ろしい)、「terrible」(大変な、恐ろしい)。さらに「frightening」(ぎょっとする、恐ろしい)などの言葉を使うこともできます。
例文
- A horrifying disaster hit all of the country.(悍ましい災害が国全体を襲った)
- The boy still has nightmares because of a fearful accident to remember.(少年は思い出すのも悍ましい事故のせいで、今でも悪夢にうなされる)