「煩わしい」とは?
「煩わしい」は、〈わずらわしい〉と読みます。「あれこれと心をいためる。思い悩む」という意味の動詞、「煩う」が形容詞化した言葉です。代表的な意味を挙げてみましょう。
- 心を悩ましてうるさい。面倒でできれば避けたい気持ちである。
- 込み入っていて複雑である。
この他にも、「気をつかわせられる」や「からだの具合が悪い」ということも表しますが、現代ではこれらの意味で使われることはまれです。よって、今回は上記2つの意味について、使い方や類語を解説します。
「煩わしい」の使い方
【上記1の意味で使われる例】
- 人と人との関わりが濃いのが田舎のいいところだが、少々近所づきあいが煩わしく感じられるのも事実だ。
- こんな大雨の中出かけなければならないのは、本当に煩わしい。
【上記2の意味で使われる例】
- 役所への申請が必要なのはわかるが、この煩わしい事務手続きはどうにかならないのか。
- 消費税率が変わったことで、煩わしい処理が増えてしまった。
これらの例文からも「うんざりする」、「おっくうだ」といったニュアンスを含む言葉だということがわかります。悩んでいる様子や、できれば避けたいといったネガティブな気持ちが伝わってきますね。
「煩わしい」の類語
「面倒臭い(めんどうくさい)」
「面倒臭い」は口語では「めんどくさい」とも言われます。意味は、「たいそう面倒である」「いかにも面倒に感じられる」など。
「面倒」という言葉には複数の意味があります。代表的なものとしては、
- 手間がかかったり、解決が容易でなかったりして、わずらわしいこと。
- 世話(例:この子の面倒をお願いします)
- 体裁が悪いこと、見苦しいこと、また、そのさま。
などがありますが、「面倒臭い」と使われる場合は、もっぱら1の意味での用法です。「面倒くさい作業」と言えば、「込み入っていて複雑な作業」を指します。
「面倒くさい人」ならば「その人と付き合うのが、精神的に負担になるような、できれば避けたい人」という感じでしょうか。
【例文】
- 国語の宿題で、1つの熟語を100回ずつノートに書いてきなさい、と言われたよ。本当に面倒くさいなあ。
- 山田さんは飲み会の店選びには文句をつけてくるのに、誘わないと不機嫌になる面倒くさい人だ。
「ややこしい」
「ややこしい」は、一説には中部から中国・四国にかけての方言とも言われます。意味は、「込み入っていて複雑である」こと。
「ややこしい話」と言った場合、話の内容そのものではなく、「背景となる事情」が「複雑」だという意味で使われることが多いでしょう。
【例文】
- この数学の問題、わざわざややこしい書き方をして、意味を取らせないようにしているとしか思えないよ。
- あそこのお家は、色々とややこしい事情があるので、首をつっこまない方がいいよ。
「うるさい」
「うるさい」を漢字で書くと、「五月蠅い」「煩い」です。ネガティブなシーンで使われる印象が強い言葉ですが、その意味は多岐にわたります。
- 物音が大きすぎて耳障りである。やかましい。
- 注文や批評などが多すぎてわずらわしく感じられる。
- どこまでもつきまとって、邪魔でわずらわしい。ものが沢山ありすぎて不愉快だ。
- いやになるほどにすぐれている。
- いやになるほどに、細々といきとどいている。
- 技芸が優れている。
「うるさい」という言葉は4~6の意味では、現代ではあまり使われません。「煩わしい」の類語となるのは2や3の意味で使われる場合ですね。
【例文】
- うちの学校の校則は実にうるさい。靴下にワンポイントがついているかどうかなど、学生生活に何の関係があると言うんだ。
- この写真、ちょっとバックがうるさいね。