「愛してやまない」とは?
「愛してやまない」。まるで恋愛映画のセリフのような言葉ですね。「やまない」を「止まない」と書くことからも推察できるように、「愛してやまない」は、愛する気持ちが止まらない・尽きない、愛しつづける、という意味の言葉です。
「止まない」「尽きない」ですから、「永遠の愛」と言い換えることも可能ですが、どちらかといえば、将来ずっと続くと断言するところにポイントがあるのではなく、比喩的に、「それほどに、とても強く愛している」というほどのニュアンスで用いられることがほとんどです。
なにごとも絶対と言い切ることは難しいですので、「愛してやまない」と言われて、「本当ね?死ぬまで永遠によね?」などと野暮なことを言うより、「嬉しい、私もよ」と返すくらいがスマートかもしれません。
人間以外も対象にできる
「愛してやまない」対象は、人間だけではありません。趣味、愛読書、ペット、なんであれ愛着をもつ物事に対して用いることができる言い回しです。
「愛してやまない」の使い方
(A男)
妻とは小学生時代からの縁なんだけど、よほど相性がいいのか、愛してやまないんだ。
(B子)
娘が連れてきた捨て猫をいやいやながら飼ったわけだけど、今となっては、愛してやまない大切な存在なの。
(C男)
鈴木君は、映画を年間二百本は観るんだ。自宅には世界中の作品のDVDが溢れているし、あれほど映画を愛してやまない人間は知らないなあ。
「~てやまない」について
「~てやまない」という言い回しは、愛以外にも、多様な用い方をされています。この用法を文章や会話に使えば、奥行きのある表現を楽しめるのではないでしょうか。
「~てやまない」は、感情を表す動詞のあとにのみ付けることができます。その動詞のあとに「~てやまない」と付けることで、対象とされる感情を「ずっと~しつづけている」「とても~している」という意味になります。
注意すべきポイントは、一時的な感情や気持ちを表す動詞は対象外ということです。たとえば、「怒る」「絶望する」「喜ぶ」などは、基本的になんらかの出来事があって一時的に動く感情を表しますので、ずっと続くことを意味する「~てやまない」とは親和性がありません。
「~てやまない」の使い方
(A男)
僕の故郷の福島の村は、原発事故で避難区域に指定されているんだ。一刻も早い村の復活を願ってやまないよ。
(B子)
私は高校中退なんだけど、十年たっても、当時の担任が気にかけて相談にのってくれるの。彼こそ真の教師、尊敬してやまないわ。
(教師C男)
教師は教え子たちの活躍を期待してやまないものだけど、実のところ、どんな状況であれ幸せな気持ちでいてくれるかどうかに尽きるよ。
(D男)
あの時プロポーズさえしていたら彼女を失うことはなかったと、当時のことを後悔してやまないんだ。
「愛してやまない」の英語表現
英語における「~てやまない」は、基本的に「can't stop ~ing」「can't help ~ing」によって表現されます。
したがって、「愛してやまない」は、「can't stop loving」「can't help loving」を用いて表します。文例を挙げてみましょう。
文例
- I can't stop loving her! 訳:彼女を愛してやまないよ。
- She can't help loving her job. 訳:彼女は自分の仕事を愛してやまない。
「I can't stop loving you」
アメリカには、まさに「I can't stop loving you」というタイトルの名曲があります。1962年にリリースされ、レイ・チャールズの歌唱で世界的な大ヒットとなりました。
代表的なオールディーズサウンドの一つとして数えられ、日本においては「愛さずにいられない」の邦題で知られています。