「禍々しい」とは?
「禍々しい」の辞書的な意味は、大きく分けて3つあります。
- 縁起が悪く、不吉なこと。悪い予感。
- いまいましいこと。好ましくないこと。
- もっともらしいこと。
2と3の用例は、現代日本語ではほとんど使われないため、今回は1の意味にしぼって解説していきます。
「禍々しい」の漢字について
次に説明するように、「禍」という漢字の意味を見ていくと、「禍々しい」のおどろおどろしさが、さらにリアルに感じ取れるでしょう。
「禍」という漢字には、わざわい、不幸、という意味があります。訓読みは「わざわ(い)」、音読みは「か」。災禍(さいか)など、やはり災いを表す言葉に登場します。
この「禍(か)」は、実は、世にわざわいをもたらすという伝説の怪獣を指す言葉でもあります。また、「逢魔が時(おうまがとき)」という、霊や妖怪がひしめく時間に移行する時間帯を表す言葉も、本来は「大禍時」だったとのことです。
このような意味をもつ「禍」が二つ重なった「禍々しい」が、いかに不吉でおどろおどろしい意味をもつかがわかりますね。
「禍々しい」の使い方
「禍々しい」は、ほぼ文章において用いられる言葉です。とはいえ、不気味さ満載のゲームや映画などを話題とすることも多くなった昨今、キーワードとしてそのような会話に登場することもあるようです。
「禍々しい」は、ほとんどにおいて、怪しげで、不気味で、不穏なものを形容する言葉として用いられています。辞書的には、縁起が悪いもの、という定義がありますが、その意味で用いられることはほとんどありません。
- 心霊スポットとして有名な廃屋のなかは、首のとれた人形や破れかけた肖像画などが散らばり、禍々しい雰囲気にみちていた。
- 恐怖にかられていたせいか、いつもは美しいと思う夕暮れも、その日に限っては禍々しいもののように感じられた。
- 心霊映画には、禍々しい音楽や効果音がつきものだ。
「禍々しい」の類語
「不吉」の意味と使い方
「不吉」(ふきつ)とは、悪いことが起こりそうな予感でみちていること、縁起が悪いこと、などを意味する言葉です。「禍々しい」に比べ、一般的な言葉として日常会話でも頻出します。
- 墓地の上空でしきりにカラスが鳴き、さらには黒雲がたれこめ、あたりにはなんともいえない不吉な雰囲気がみちてきた。
- 交通事故で緊急入院した親友のもとに駆けつける途中、三回も霊柩車に遭遇し、不吉な予感で身が震えた。
「凶兆」の意味と使い方
「凶兆」(きょうちょう)は、悪いことが起こる前触れ、不吉な前兆のことを意味します。「兆」がきざしという意味であることからもわかるように、不吉そのものではなく、その前触れであることに注意しましょう。
兆しではあれ、不吉の兆しはすべからく不穏さや不気味さに満ちているという点で、「禍々しい」の類語といえます。
- 黒猫を吉兆(きっちょう)とするところあれば、凶兆とするところもある。
- 霊能者によれば、家の中に響く奇妙なきしみ音は、霊があらわれる凶兆だという。
「不穏」の意味と使い方
「不穏」(ふおん)は、字のとおりに穏やかでないこと、また、状況が安定せず、危機的な状況や危険をはらんでいるさまを指す言葉です。
なにやら良くないことが起こりそうな状態、不吉な予感、という意味において「禍々しい」の類語といえます。
- 銃の発砲音が鳴り響き、人の姿がすっかり消えた街には、不穏な空気が漂っていた。
- 激しく言い争っている両親の不穏な声と気配で、私は深夜に飛び起きた。