「一口に言っても」の意味
「一口に言っても」とは、「簡単に言っても」「短い言葉で言ったところで」「一括りにしても」のような意味で使われています。色々と種類が豊富なものをひとまとめにしている状態です。
ポイントは「一口に言っても」の「ても」。これは接続助詞の「て」と係助詞の「も」が重なった言葉で、逆接を表します。「けれども」の「も」も同じく逆接を表していると考えるとわかりやすいでしょうか。
「一口に言っても」は「一言で言うけどさ…」や「簡単に言ってくれるけどね…」と同じように使えるフレーズです。
「一口」の意味
「一口に言っても」の「一口」。料理や食べ物を「一口で食べる」とか「一口味見させて」なんて言いますよね。「一口に言っても」の「一口」とはどんな関係があるのでしょうか。
「一口」の意味は食べ物を一回口に入れること。一回で食べることのできる適正量を食べるという意味のこともあれば、一度にまとめて食べてしまうこともあります。あくまでも回数を指定しているにすぎません。
「一度に口に入る分」から転じて、株や寄付金、仕事の単位としても使われるようになりました。また、「一度にまとめて食べること」から「手短にまとめる、一括りにする」という意味でも用いられます。
「一口に言っても」の使い方
「一口に言う」とは、複雑な話を単純化したときや幅広いジャンルのものをひとまとめにしたときに使われる言葉です。多くの場合、「一口に言っても」という形で、「過度に単純化しすぎている」、「一括りにするな」という否定や批判のニュアンスを表現します。
例えば、「大学生と一口に言っても学力や能力は千差万別である」という文で考えてみましょう。この場合、大学生というカテゴリーは広すぎる、それぞれの大学ごとに、あるいは個人個人で学生の学力の幅は大きいのだから一括りにしてはいけないという批判です。
なお、「大学生と一口に言っても」の他に「一口に大学生と言っても」という使い方もできます。意味はどちらでも変わりません。
「一口に言っても」の例文
- 犬が好き、と一口に言っても色々な種類がいる。チワワやダルメシアンからシェパードやドーベルマンまで大きさも様々だ。
- 一口に犯罪者といっても罪の重さは大きく違う。一律の刑罰を与えるのはいかがなものか。
- 昨日見たような渓流もあれば、今日見ている悠々たる大河もある。川と一口に言ってもひといろじゃないんだよ。
「一口に言っても」の類語
一言で言っても
「一口」とよく似た言葉に「一言」があります。どちらも同じような意味を持っているので、「一口に言っても」は「一言で言っても」と言い換えることができます。
では、「一口」と「一言」にはいったいどのような違いがあるのでしょうか。一口に言えば、簡略化しているのか、それとも文字数を短くしているのかの違いです。
「一口」はこれまで見てきたように簡単にまとめるという意味です。一方、「一言」は短い言葉という意味で使われます。
シンプルにする、話を分かりやすくするなら「一口」、手短に済ますのであれば「一言」がより適していると言えます。とはいえ、日常では特別な区別なく使われているのも事実です。混同していても間違いとまでは言えないでしょう。
十把一絡げ
「一口に言っても」の類語の一つが「十把一絡げ(じっぱひとからげ)」です。「じっぱ」であって「じゅっぱ」や「じゅうわ」ではありません。
「十把一絡げ」はひとまとめにする、価値の低いものをまとめる、といった意味のことわざです。「一口に言っても」と同じように「十把一絡げに言っても」と使えます。