「労を労う」とは?
「労を労う」は「ろうをねぎらう」と読みます。「労」と「労う」の字が重複するため、「労う」はひらがな表記で「労をねぎらう」という表記するのが一般的です。
「労を労う」は「相手の苦労や尽力に対して、感謝していたわる」という意味です。何かを成し遂げた人に対して、「よくやってくれた。ありがとう」と声をかけることがあるでしょう。このように、その人の苦労や功績に感謝し、褒め称えるときに使います。
「労」:字義
「労」という漢字には、「働く・つとめる」「骨折り・体をつかうこと」「功績・手柄・立派な働き」「いたわる・ねぎらう」などの意味があります。
「労(ろう)」:意味
「労を労う」の「労(ろう)」は、「骨折り」「功績」「立派な働き」、つまり「渾身の力を振り絞ってやったこと」や「大きな苦労の末に成し遂げたこと」などを表します。
例えば、大きなプロジェクトが成功したことや、受験で志望大学に合格したことなどですね。ですから、簡単にできるようなことや、日常で当たり前に行っているようなことを指しているのではありません。
「労う(ねぎらう)」:意味
「労う(ねぎらう)」は、「人の苦労・尽力などを慰め、感謝していたわる」ことを表します。大事にしたり、優しくしたりといった相手への思いやりの気持ちを表す行為のことです。
また、同じ「労」という字の訓読みに「労る(いたわる)」があります。「優しく接する・大事にする」といった意味で、「病人をいたわる」のように使いますね。このほかにも、「ねぎらう」という意味もあります。
「労う(ねぎらう)」と「労る(いたわる)」は意味はほとんど同じですが、「労う(ねぎらう)」は同等、もしくは目下の者に対して使う表現である一方、「労る(いたわる)」は親やお年寄りなど目上の人に対しても使うことができます。
「労を労う」:使い方
- 会社の今後にとっても、極めて重要なコンペを勝ち取った部下の労を労った。
- 難関校の受験を決めた息子は毎日十何時間も机に向かっている。受験が終わったら、労を労いたいと思う。
- 努力している後輩の労をきちんと労う事のできる人は、後輩から慕われるであろう。
目上の人には使わない
上で説明したとおり、「労う」という言葉は同等以下の人に対して使う言葉です。「労を労う」も同じく、目下の人や同僚に対して用います。
「労を労う」はビジネスシーンにおいてよく使われる言葉ですが、上司や取引先など、目上の人には使わないように気をつけましょう。
「労を労う」は重複表現ではない
重複表現とされるのは、「後で後悔する」(後悔:後で悔やむこと)、「頭痛が痛い」(頭痛:頭が痛むこと)のような場合です。
「労を労う」も「労」を二度使っているので重複表現のようなイメージを受けますが、重複表現ではありません。
「労(ろう)」は「立派な働き」、「労う」は「感謝していたわる」と意味が異なりますから、重複しているわけではないのです。「掛け声をかける」「歌を歌う」などと同じことですね。