「行きがけの駄賃」とは?意味や使い方をご紹介

「行きがけの駄賃」は最近では泥棒と縁があるようですね。元々はむしろ馬と縁があった言葉なのですが。今回は「行きがけの駄賃」がテーマです。意味や使い方はもちろん、あまり知られていない由来や関連語までまとめてご紹介しています。

目次

  1. 「行きがけの駄賃」とは
  2. 「行きがけの駄賃」の意味
  3. 「行きがけの駄賃」の由来
  4. 「行きがけの駄賃」の使い方
  5. 「行きがけの駄賃」の例文
  6. 「行きがけの駄賃」の関連語

「行きがけの駄賃」とは

「行きがけの駄賃」は「ゆきがけのだちん」または「いきがけのだちん」と読みます。多くの辞書にはどちらの読み方も記載されていますが、「ゆきがけのだちん」のみを取り上げているものもあります。

「行きがけの駄賃」の意味

「行きがけの駄賃」の意味は、何かをするついでに他のこともすることです。物事のついでのタイミングをうまく利用して、利益や恩恵を得るという意味です。

「行きがけの駄賃」自体には、良いも悪いもありません。しかし、泥棒や盗人に関連して使われる場合は別です。本来の目的とは違うけれど、ついでだから盗んでいった、というような意味で使われます。

「行きがけの駄賃」の由来

「行きがけの駄賃」の由来は武士の時代にまで遡ります。自動車のない当時、人や物を運ぶには馬が使われていました。馬を使って荷物を運んでいた人のことを馬子(まご)と呼びます。ことわざの馬子にも衣裳の馬子です。

彼らは荷物を配達する仕事があると、その荷物を問屋(とんや)まで取りに行っていました。問屋は今でいう卸売業者のことです。

荷物を問屋まで取りに行く際、馬を空荷のままにしておくのは少しもったいない話です。そこで、その地域まで届けるような荷物を馬に乗せ、お金を得ていたといいます。お使いに行くついでに利益を得る、これが「行きがけの駄賃」の由来です。

この時に得ていた配達料金は、駄賃と呼ばれていました。駄賃という漢字の由来は、身分の低い馬子が使っていた下等な馬、すなわち駄馬と呼ばれていたことにちなみます。お使いとお駄賃の関係もここに由来すると言われています。

「行きがけの駄賃」の使い方

「行きがけの駄賃」は何かをしに行って、ついでに別の用事もこなす場面にに使われます。例えば、買い物に行くついでにポストに葉書きを出してくる、出張のついでに支店へ荷物を届けるなどです。

悪い意味で使われる場合は、目的としていたものとは別のものも同時に盗んでいく、悪事を働いたついでに小さな悪事もやっていくなどの背景があります。

ポイントは、本来の目的の範囲内で別のことをするところです。ついでの用事、すなわち「行きがけの駄賃」の行動をメインにしないことが大切です。

バッグを盗むついでに人を殺すならNGです。お宝を盗むついでに警備員の財布も盗む、ならOKです(法的にはアウトですが)。

「行きがけの駄賃」の例文

  • 図書館に行く際、何かついでがあるか尋ねたのが問題だった。行きがけの駄賃とばかりに、大量の雑用を頼まれてしまった。
  • まったくあの子ときたら。おすそ分けを届けてくれたからお菓子出してあげたのよ。そしたらね、行きがけの駄賃とばかりに、そのお菓子、みんな平らげちゃったのよ。
  • やっと助けが来た。これで薄暗い地下牢からおさらばできる。だが、せっかくの機会だ。行きがけの駄賃に宝物庫のお宝もいただいてしまおう。

「行きがけの駄賃」の関連語

「朝駆けの駄賃」

「朝駆けの駄賃」は「行きがけの駄賃」から生まれた言葉です。朝一番の馬は疲れておらず、とても元気です。夕方の疲れ切った馬なら重いと感じるであろう荷物も、朝ならあまり負担になりません。

ここから転じて、朝のうちは仕事の効率が良い、あるいは仕事を簡単に済ませられることの例えとして使われます。

「帰りがけの駄賃」

「行きがけ」とは目的地に行く途中、いわゆる往路のことです。一方で復路の場合は「帰りがけ」といいます。このため目的を果たし、帰る途中で利益をあげることを「帰りがけの駄賃」と呼ぶこともあります。

ただし、「帰りがけの駄賃」は造語です。往路であっても復路であっても目的とは違うことで利益をあげれば「行きがけの駄賃」と呼んでOKです。

関連するまとめ


人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ